2019年9月22日(日)

めざせ生地の図書館 ネット・リアルで問屋再生
アトツギ創業・山冨商店

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2018/3/4 6:30
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「繊維の街」と呼ばれ1960年代に栄華を誇った大阪・船場。その時代の名残である「船場センタービル」に、1946年創業の生地問屋、山冨商店(大阪市)がある。3代目を継ぐ予定の浜本隼瀬専務(35)は、廃業目前だった零細の老舗問屋をネットとリアルを交えた販促先で再生。8年間で顧客を1000倍に増やした。

「図書館」をコンセプトとした山冨商店のショールームで生地のサンプルを手にする濱本隼瀬専務

「図書館」をコンセプトとした山冨商店のショールームで生地のサンプルを手にする濱本隼瀬専務

■顧客2人から2300会員に

「生地のサンプルを見せてください」。空き店舗も目立つ船場センタービルに、次々と客が訪れる一角がある。昨年、山冨商店が新設したオフィス兼ショールームだ。

「図書館のように生地のサンプルに触れられる場所を作りたい」(浜本専務)と、約8300品番の生地のサンプルをそろえた。初めて訪れた客でも分かりやすく、生地を探すことができる。

「図書館」はインターネット上にもある。2013年5月から運営するウェブサイトは、1万を超える種類の生地の画像をデータベース化し、柄や素材で検索できる。納期や値段、何メートルから取引ができるかなどの情報も表示。手芸が趣味の一般客や中小のアパレルメーカーのデザイナーなど約2300会員が利用している。実は5年前まで、山冨商店の顧客は得意先の2社だけだった。

通常、生地問屋は得意先だけを相手にしており、取引条件は社外秘。一般の消費者にアプローチすることもない。「店を続けるためには販路を広げるしかない」と考える浜本専務は、ネットでの情報開示で「透明感あふれる生地問屋」を目指す。

ウェブサイトの開設と同時に始めた生地のサンプルの無料配送サービスも工夫の1つだ。

画像だけでは生地のイメージがつかみにくいと、サンプルは5種類まで無料で配送する。実際に生地を触ったり縫ったりしてもらい、購入につなげてもらう。当初はサンプルの注文ばかりで本契約に結びつかなかったが「打率のいいダイレクトメールだ」と自分に言い聞かせ耐えた。

徐々に注文が増え始めた。4カ月たつと売り上げが月10万円になり、1年後に月100万円に。サンプルの配送やカタログの数値入力は手作業では追いつかなくなった。

「自分でできないことはプロに頼もう」。合コンの席で出会ったシステムエンジニアと意気投合し、生地の情報を自動入力できるシステムの構築に結びつけた。

山冨商店の売上高は10年度の2300万円から17年度は1億6千万円に7倍に。たった2人だった人員も6人に増えた。

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