2019年5月19日(日)

プーチン氏「経済を活性化」 選挙前に異例の年次演説

2018/3/1 20:30
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【モスクワ=小川知世】ロシアのプーチン大統領は1日、モスクワで今後の施政方針を示す年次教書演説を行った。18日の大統領選の直前という時期を選び、経済活性化に取り組む姿勢をアピールした。国民の関心の高いテーマを前面に出し、選挙の投票率を底上げして、国民の圧倒的な支持を演出したい考えだ。有力な対抗馬がいない選挙への関心が高まらないことへの焦りものぞく。

例年は12月の年次演説が延期されていた。政権幹部や上下両院議員ら1千人以上が出席。過去最多の人数が集まるとされ、初めて会場をクレムリン(大統領府)外の大型会場に移した。投票日を前に大々的に政策を披露して注目を引き付け得票につなげる狙いだ。

プーチン氏は演説の冒頭で「ロシアは経済的、社会的に複雑な課題を解決してきた。経済の安定は長期的な成長を可能にする」とこれまでの成果を強調。インフラ投資の拡大などによる経済活性化策を表明した。

大統領選はプーチン氏の再選が確実視され、事実上の信任投票になる。次期の6年間は最後の任期になる見通しで政策方針が注目されていたが、これまで具体的な選挙公約は語っていなかった。同氏はほかの候補者との討論会にも加わらず、具体的な政策や課題はほぼ議論されないままだ。

年次教書演説が3月までずれ込んだのは「選挙戦の終盤を飾る」(与党統一ロシア幹部)意味合いもあるが、政権幹部が直前まで内容を詰め切れなかったとの見方もある。大統領の職務である演説を選挙キャンペーンに利用しているとの批判も出ており、リベラル派野党は「選挙規定に違反する」と訴えていた。

プーチン氏は2017年12月の出馬表明から地方都市を回り、若者や労働者の集会を繰り返し訪れて熱狂的な支持をアピールするのにいそしんだ。背景には経済が停滞し、同氏の長期統治にくすぶる不満への警戒がある。ロシア経済は2017年の国内総生産(GDP)の実質成長率が1%台にとどまり、実質可処分所得も前年割れが続く。

若者らの支持を得て反政権デモを広げた反体制指導者のナワリニー氏は大統領選への出馬を認められなかった。盛り上がりを欠く選挙戦に国民の関心や期待は低い。ナワリニー氏は「本当の選挙ではない」としてボイコットを呼びかけており、政権は高い支持を内外に示すために投票率の底上げに躍起になっている。

演説は内政に重きを置き、国民所得の引き上げや貧困者層の削減など国民受けを意識した内容が予想される。統一ロシア幹部によると、欧米による対ロ経済制裁が続くとの前提に立ち、国内の技術革新によって停滞する経済を成長に導く考えを披露するとみられる。

今後予想される年金受給年齢の引き上げや増税など国民の負担が増える政策には踏み込まず、選挙後に先送りする可能性が高い。外交では欧米に対する強硬路線を継続し、強い指導者像を強調するもようだ。求心力を保つのに役立ててきたウクライナのクリミア併合も方針転換は見込みにくい。

大統領選には野党代表やプーチン氏恩師の娘ら8人が立候補した。政府系調査機関の全ロシア世論調査センターの最新調査でプーチン氏の支持率は69.5%。他候補を大きく引き離している。

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