インド携帯 3強に集約
マレーシア系が破産申請 新興ジオ急成長

2018/3/1 23:14
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インド携帯通信業界の再編が進んでいる。業績が悪化していたマレーシア系の大手、エアセルが撤退を決めた。大手財閥リライアンス・インダストリーズ(RIL)の参入から1年あまり。合併や買収、撤退が続々と決まり、上位3強に集約される見通しとなった。契約者数が12億人に迫り頭打ちとなるなか、各社は品質の向上やサービスの拡充を競い合う段階に入りそうだ。

業界6位のエアセルは2月28日、破産手続きの開始を会社法審判所(NCLT)に申し立てた。「破壊的な新規参入者によって競争が激しさを増した。払いきれない負債を抱えて収益が悪化し困難に直面している」。同社は関係者に宛てた文書で明らかにした。地元メディアによると、1550億ルピー(約2500億円)の負債を抱え、直近は12億ルピーの営業赤字だった。

同社のシェアは17年12月末で7.3%。一定規模を持つものの、競争激化でシェアを落としていた。エアセルは挽回するため、同じく逆風に直面していたリライアンス・コミュニケーションズ(RCOM)と事業統合で合意していたが、17年10月に破談。他社の合従連衡が進む中、苦境に陥っていた。

NCLTが受理すれば、債権者委員会が管財人を指名し、更生計画をまとめる。計画が承認されればスポンサー探しなどが始まるとみられる。270日以内に債権者委で計画が承認されないと会社を清算する。

インドの携帯通信業界はこの1年、再編が進んできた。2位の英ボーダフォン・グループのインド法人と3位の印アイデア・セルラーは合併を決め、首位のバルティ・エアテルはノルウェーのテレノールのインド事業や印最大財閥タタ・グループの事業を傘下に収める。

エアセルとの統合を破談にしたRCOMは17年末に消費者向け携帯事業からの撤退を決めた。同じリライアンス財閥の創業一族が経営するが、母体が異なるRIL系のリライアンス・ジオに携帯電話の4Gサービスに使う周波数や基地局を売却する。

もともと事業者が多く競争の激しかった業界だが、一段と激化させたのは16年9月のジオの参入だ。同社は通話やデータ通信を無料にするキャンペーンを展開し、その後の料金設定も割安にして契約者を獲得。実質無料の端末で契約者の裾野を広げた。

財閥傘下の資金力を背景とした低料金戦略が奏功し、ジオは参入から1年強でシェアを14%にまで伸ばした。契約者数は17年12月末で1億6千万人を突破、17年10~12月期の単独決算は税引き利益が50億ルピーだった。その前の四半期(17年7~9月期)の赤字から黒字転換した。

残るエアセルが撤退し、再編は終息する見通しだが、市場のパイを巡って競争は一段と激しくなる可能性がある。

印電気通信規制庁によると、17年12月末の契約者数は約11億6700万人と前年同月比4%増にとどまる。月次ベースでは純減となる月もあり、12月の契約者数は同年6月(約11億8700万人)より減っている。

大手3社の間では品質やサービス面での競争が進みそうだ。インドの通信環境は不安定な状況になることが多い。通話・データ通信の品質を向上させるための設備投資が不可欠になる。

バルティはこのほど動画配信会社と提携した。自社の契約者が携帯で動画を見られるようにするためだ。データ通信を活用した新規コンテンツサービスの導入も相次ぎそうだ。

(ムンバイ=早川麗)

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