カッパの変、異例の3年で4回の社長交代

2018/3/1 15:23
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コロワイド傘下で大手回転すしチェーン「かっぱ寿司」のカッパ・クリエイトが苦境に陥っている。2017年4月に就任したばかりの大野健一氏が18年2月28日付で急きょ社長職を辞任。コロワイドがカッパ・クリエイトを買収してから異例の3年で4回目の社長交代になる。買収前の「安かろう、悪かろう」の負のイメージを払拭できず、浮上のきっかけを見いだせていない。かつて業界1位だったかっぱ寿司だが、スシローと元気寿司の連合の誕生で4位と大きく引き離されている。このまま苦戦が続けば、コロワイドの屋台骨が揺るぎかねない。

コロワイドがかっぱ寿司を買収してから3人目の社長の大野氏は就任からわずか11カ月で辞任した

「一身上の都合で辞任します」。2月28日に開かれたカッパ・クリエイトの取締役会で大野氏が即日辞任を申し出た。上場企業でありながら後任も決まっていない異例の発表に市場や消費者の間で不安感が広がった。広報担当者は辞任の理由について「本人の都合」として多くを語らず口を濁す。大野氏は就任からわずか11カ月での退任になることに驚きが広がったが、じつはコロワイドが買収してから4回目の社長交代になる。

コロワイドは14年に300億円を投じ、居酒屋主体から総合外食企業に向け、社運をかけてカッパ・クリエイトを買収した。だが、このかっぱは当初からいわくつきだった。まず、神明が元気寿司とカッパ・クリエイトホールディングス(現カッパ・クリエイト)との経営統合をめざしていたが、「かっぱ寿司は経営効率を優先していた」として安価なネタを提供するかっぱ寿司から離れ、最終的に頓挫した。そのかっぱ寿司を引き取ったのがコロワイドだった。

コロワイドは神明が懸念した「安かろう、悪かろう」のイメージを払拭するためにてこ入れしてきたが、誤算が続く。2014年12月にコロワイド出身の社長を就任させたが、2015年3月期の連結決算で134億円の最終赤字。それを受けて16年6月に社長に就任した四方田豊氏はカッパの絵柄の安っぽいイメージが不振の原因の1つと考え、赤と金の皿を重ねたデザインのロゴを刷新したが、逆になじみのあるカッパの客離れにつながった。業を煮やしたコロワイド創業者の蔵人金男会長は、水産食材の調達の手腕を買って大野氏を社長に就任させた。

買収から3人目の社長となった大野氏は、まずは来店してもらえることが復調には不可欠だと考え、17年6月に回転すし業界では珍しい食べ放題に踏み切った。だが、既存店の客数は17年10月に前年に比べて20%近く下回るなど低水準が続き、既存店の売上高も低迷。かたや、スシローの既存店売上高は前年を超える水準で推移して明暗がはっきりと分かれてしまい、かっぱ寿司は浮上のきっかけが見えなくなってしまっている。

「やる、しかない。」「日本一奪還」「後がない」――。17年秋から新CMを打ち出したが、消費者は内向きのメッセージとして受け取り、逆に皮肉にもかっぱ寿司が苦しい状況にあるというメッセージとして伝わってしまった。カッパ・クリエイトは18年3月期の業績予想を1月末に下方修正し、最終利益を13億円から7億円に引き下げた。「一身上の都合で辞任しなくても、大野氏の首が切られる可能性が高かった」(関係者)。牛角やフレッシュネスバーガーを買収して拡大してきたコロワイドだが、主力の居酒屋はアルコール離れで苦戦している。社運をかけたカッパが危機水域から浮上しなければ、今後も厳しさが続く外食業界で生き残りは難しくなるだろう。(小田浩靖)

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