2019年6月18日(火)

宙舞うLED 東大が開発、空中ディスプレーへ応用も

2018/3/5 6:30
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東京大学と慶応義塾大学は、自由に飛び回りながら光るコメ粒くらいの大きさの発光ダイオード(LED)ライトを開発した。超音波を使って浮かし、無線で電気を供給してLEDを光らせる。空中に映像を浮かびあがらせるディスプレーなどに応用できるほか、センサーなどを搭載して飛ばすなどあらゆるモノがネットにつながるIoTの分野で様々な使い方が広がりそうだ。

■直径4ミリの半球形、超音波の力で空中を動き回る

高宮真東大准教授らが開発したライトは、直径が4ミリメートルの半球形で、プリント基板にLEDやIC、コイルなどの部品を搭載した。無線で送られた電気でLEDを光らせるICを独自に開発して縦横1ミリメートルに収まるよう小型化。全体の重さを16ミリグラムと軽くして超音波でも空中に浮くようにした。電磁誘導方式で電気を送り、空中に浮かんだライトを光らせる。

ライトを空中に浮かすために、縦横に17個ずつ289個の小型スピーカーを並べた板を、実験装置の上下に向かい合わせに設置。上下から出す超音波の収束ビームを利用して空気に密度の濃い部分と薄い部分をつくり出し、ライトを密度の濃い空気に挟むようにして浮かせる。パソコンからの指示で超音波をコントロールし、空中のライトを上下左右に自由に動かすことができる。今回の実験装置では電気を送るコイルを中心に上下左右に約5センチメートルの範囲で動く。また無線で電気を送るので、ライトを動かしながら光をつけたり消したりすることも可能だ。光を点滅しながら飛ぶ姿からゲンジボタルの学名をもとに「ルシオラ」と名付けられた。

実験装置と高宮真東京大准教授(中央)ら

実験装置と高宮真東京大准教授(中央)ら

ライトは直径4ミリとコメ粒ほどの大きさだ

ライトは直径4ミリとコメ粒ほどの大きさだ


研究チームは、この空中に浮くライトを使って、手元の本の読む場所だけを照らしたり、文字を描くように飛んだりする実験に成功している。現在は一度に1個のライトしか動かせないが、将来、多数のライトを同時に動かせるようになれば、空中に3次元映像を映し出すディスプレーなどにも利用できる。すでに3色のLEDを搭載したライトも試作していて、これをたくさん浮かせることができればフルカラー映像を描くことも可能だ。空中ディスプレーにはいろいろな方式が研究されているが「映像だけでなく、触れるディスプレーができる」と高宮准教授は期待する。

■センサー載せて飛ばせば、IoT分野での活躍も

また今回の技術を使えば、LEDだけでなく、多様なセンサーなどを載せて飛ばすことが可能になる。温度などのセンサーを積んでモニタリングに利用するなどIoT分野で、様々な用途の広がりが期待できる。

高宮准教授は「電子機器が将来、より小さくなったときに、電子機器自身が動ければもっと面白くなると思って試作した」と説明、一層の小型化を進める考えだ。ただ小さくすると浮きやすくなる一方で、無線で電気を送る効率が低下するためLEDを光らせるのが難しくなるといった問題がある。将来、こうした課題を解決し、家の中を小さな電子機器が飛び回って日常生活を手助けしてくれる未来が来るかもしれない。

(科学技術部シニア・エディター 小玉祥司)

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