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古参イーベイ、突然の日本再参入 勝算はあるのか

米イーベイは27日、シンガポールの企業から日本の通販サイト事業を買収すると発表した。02年に撤退して以来、16年ぶりに日本の電子商取引(EC)市場に再参入する。ただ、ネット黎明(れいめい)期にEC市場を切り開いた老舗イーベイも、今ではアマゾン・ドット・コムに大差を付けられている。久々の登場となる日本での戦いに、勝算はあるのか。

「日本市場にはかねて魅力を感じていた」。27日、日本経済新聞の取材に応じたデビン・ウィニグ最高経営責任者(CEO)は通販サイト「キューテン」買収の狙いについてこう語った。日本のEC市場は中国、米国に次ぐ世界3番目の規模だが、「ECの普及率がまだ低く拡大の余地は大きい」という。

イーベイには日本法人もある。現在、手掛けているのは海外の消費者と日本企業をつなぐ越境ECの支援だ。1999年にNECと組んでネット競売で日本に参入したものの、「手数料無料」で徹底抗戦するヤフーに負けて撤退を余儀なくされた。今回の買収は長らく途絶えていた日本の消費者との接点を取り戻す試みとなる。

キューテンの社員250人はイーベイの日本法人に移籍。イーベイが世界中に抱える商品をキューテンで購入できるようにするという。ただ、競売サイトの雄として「黒船」のごとく現れた前回と比べると、迫力不足は否めない。衣類や化粧品、ダイエット食品といった品ぞろえに特徴があるキューテンの会員数は17年12月で960万人。9千万人の楽天やアマゾンと比べニッチな存在だ。

それこそが、今のイーベイの勢いのなさを示している。米調査会社イーマーケターによると、17年の米EC市場のシェアは、アマゾンが43.5%で首位。イーベイは2位ではあるものの、6.8%とアマゾンの6分の1にとどまっている。

今のイーベイは固定価格で購入できる商品の割合が9割近くに達し、普通の通販サイトと変わらない。日用品から食品、衣料まで幅広くそろえるアマゾンに対し、イーベイが得意とするのは美術品やコインなど収集家が好む商品群。アマゾンと比べ、日常生活での利用頻度は圧倒的に少ない。

この差は株式時価総額に表れている。日本からは02年に撤退したものの、イーベイの時価総額は07年ごろまでアマゾンの2~4倍あった。その後、アマゾンの市場での評価が急速に高まり、08年夏に逆転。直近では16倍もの差が付いている。

イーベイはもはやアマゾンに真っ向勝負を挑もうとは考えていない。「競合と共存しながら日本でも独自の地位は築ける」とウィニグ氏は話す。アマゾンが手を伸ばさないニッチな隙間に活路を求めることが生き永らえる道だと悟ったのだ。

もっとも、日本市場の競争はすでに激しい。最近ではフリマアプリのメルカリ(東京・港)など新手のサービスも登場してきた。特にキューテンが得意とする衣料はスタートトゥデイの「ZOZOタウン」が高いシェアを持ち、アマゾンが強化に乗り出すなど成長を見越した動きも加速している。全く新しい手法で勝負するのでなく、ニッチとはいえ既存サービスの延長では、日本攻略は難しいかもしれない。

(シリコンバレー=藤田満美子、佐藤浩実)

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