フェイクミート、モリンガ… 米国で流行中の新健康食

肉のようで肉ではない。見た目、食感、味、香り、それらすべてを限りなく本物に近づけた「フェイクミート」が、全米でブームを巻き起こしている。
仕掛けるのは、インポッシブル・フーズ。シリコンバレーのスタートアップ企業で、最先端の化学で全く新しい植物肉を作り上げた。ビーフのような赤みと風味の正体は、ヘムという鉄分を含んだ分子。これにアミノ酸や砂糖、ビタミンをブレンドし、肉汁までリアルなパテを生み出した。


創業6年で3億ドルもの資金調達に成功し、投資家にはあのビル・ゲイツも名を連ねる。人気レストランの「ウマミバーガー」も同社のパテを採用した「ベジバーガー」をメニュー化した。大学やオフィスのカフェに続き、スーパーにも販路を広げようとしている。
こうした本物そっくりの食べ物が今、トレンドの先頭を走る。乳製品のようでありながら、ミルクを一切使っていないスイーツもその一つ。植物性の油やでんぷんで作ったチーズケーキやヨーグルトを展開するのは、カナダのデイヤフーズだ。ミルクフリー、グルテンフリー、ソイフリーを掲げて急成長し、2017年、大塚製薬の傘下に入った。「日本で展開する予定はまだない」(大塚製薬)というが、登場すれば日本でもブームになりそうだ。
斬新な発想力で、新たなジャンルも切り開かれている。見た目はジュース、中身はスープの「スープドリンク」は、持ち運びのしやすさが最大の売り。ジュースより糖分が少なく、缶のスープよりも塩分を抑えるなど、栄養面でも差別化を図っている。


トッピングを混ぜるタイプのヨーグルトも話題だ。ギリシャヨーグルトで知られるチョバニが「flip」というブランドで売り出したのが始まりで、開封するとトッピングが専用のスペースに入っている。シリアルはもちろん、キャロットケーキやキーライム、アップルクリスプなど多彩なフレーバーが別添えされ、「ヨーグルトスナック」という新カテゴリーを生んだ。
ハイビスカスやラベンダーなどの色や香りを取り入れた「フラワーフード」も花盛りだ。見た目にも鮮やかなアイスキャンディや紅茶が売り出され、SNS映えすると評判になっている。



もう一つのトレンドは、飛び抜けた栄養価を誇る超スーパーフードだ。ターメリックの次にブレイクすると期待されているのがモリンガ。「奇跡の木」といわれ、ホウレン草の3倍の鉄分、オレンジの7倍のビタミンC、赤ワインの8倍のポリフェノールなど数々の栄養素を高濃度に含む。葉や茎を使ったヘルシースナックやジュースなど、さまざまなモリンガフードがお目見えし、クリクリは2500店ものスーパーと取引するほど勢いがある。
免疫力を高めるなど医療効果の高さで脚光を浴びるのがきのこ食品だ。チャガ(カバノアナタケ)やレイシが紅茶やコーヒーなどに姿を変え、日常生活に入り込んでいる。
[日経トレンディ2018年4月号の記事を再構成]
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