2018年9月23日(日)

一橋大の清水洋教授、見せかけの「選択と集中」に問題
「ニッポンの革新力」インタビュー

革新力
コラム(ビジネス)
2018/3/2 1:31
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 日本企業は世界の大企業に比べ、なぜ研究開発投資を利益に結びつける力で見劣りするケースが多いのか。一橋大学イノベーション研究センター教授の清水洋氏に、日本企業が抱える問題点を聞いた。

一橋大イノベーション研究センター教授・清水洋氏

一橋大イノベーション研究センター教授・清水洋氏

 ――日本企業の研究開発効率が低迷しています。どこに問題があるのでしょうか。

 「研究分野の選択と集中ができていないことが挙げられる。例えば一つの日本企業が持つ複数の特許を技術領域ごとにそれぞれ分類してみると、関係の薄い領域に分散していることが多かった。関係の薄い領域に毎年同じ金額を回していれば、それはただのバラマキにすぎない。経営者が的確な意思決定をしていないと言わざるを得ない」

 ――どのような対策が求められますか。

 「相乗効果の見込める領域に研究対象を絞り、投資額を増やすことが求められる。米国企業の場合、成果が得られないと分かった分野はすぐに撤退するが、日本企業では単体で撤退していても、実際は子会社に移管して抱え続けていることが多い。こうした見せかけの選択と集中が、投資効率を低下させている」

 ――効率の低さは企業だけの問題なのでしょうか。

 「企業を取り巻く社会構造の違いにも原因はある。米国では1990年代ごろから大学が基礎研究を、企業が応用や開発をそれぞれ担う構造ができあがった。大手企業に代わり、より不確実性の高い研究分野に取り組むベンチャー企業の厚みも増している」

 「日本ではこうした分業体制が発達しておらず、イノベーションに関わるコストのほぼ全てを大手企業が負担していると言える。米国の方が失業率が高いことを考えれば、どちらの社会が優れているとは言えない。ただグローバルな競争において、日本企業が苦戦を強いられているのは確かだ」

 ――日本企業でもベンチャーとの協業が広がっています。

 「企業が自社の研究開発を『棚卸し』する機会となり、評価できる。これまで経営者はただ自社の研究開発部にお金を振り向けるだけだったが、現在では研究開発投資のほか、ベンチャーに投資するか、他社の技術を買ってくるかなど選択肢が増えた。その判断をする際、自社が今どんな技術を持っていて、どんな技術が必要なのか、きちんと確認できるようになった。そうしていけば企業として無駄が減り、競争力が増すことになる」

(聞き手は和田大蔵)

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