エネ自由化、進む乱戦 中部電・大ガスが提携発表

2018/2/27 23:00
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中部電力大阪ガスは27日、電力・ガスの販売会社を共同で設立すると発表した。ターゲットは東京電力ホールディングスが牛耳る最大市場の首都圏だ。ただ一方で、両社は発電やガスの製造で東電と提携関係にある。4月で電力小売りの全面自由化から2年。敵味方の関係が入り組む乱戦が一段と進んできた。

中部電と大ガスの両社長が27日、東電のお膝元の東京都内に乗り込んで開いた記者会見。中部電の勝野哲社長は「両社の強みを持ち寄り、首都圏でのシェアを1割程度にしたい」と力を込めた。

4月に販売会社CDエナジーダイレクト(東京・中央)を折半出資で設立し、許認可などの手続きが済み次第、営業を始める。300万件の顧客確保を目標に、2030年度には電力で200億キロワット時、ガスは100万トンの販売を目指すという。住宅メーカーや不動産、通信との連携も検討。大ガスの本荘武宏社長は「従来の電力、ガス会社の枠を超えた新たなサービスを作り出す」と強調した。

だが、両社長が東電に挑戦状をたたきつけてから、わずか2時間後。中部電の担当者は、東電の担当者と席を並べて別の記者会見に臨んでいた。両社の火力発電所や液化天然ガス基地を、19年4月に共同出資会社JERAに移管すると発表したのだ。移管対象の資産価値に開きがあるため、中部電は現金で3350億円をJERAに出資し折半出資を維持することも明らかにした。大ガスとの新会社も電力やガスの一部をJERAから調達する。

競争と協調――。製販で180度異なる東電との関係は大ガスも同じだ。東電、JXTGエネルギーとの共同出資会社を通じ20年から川崎市でガスの生産を始める。本荘社長はここで作るガスについて「中部電との新会社が調達を検討する候補のひとつ」と話した。

電力もガスも人口減や省エネ技術の浸透で大幅な需要拡大は期待できない。生産設備への巨額投資のリスクを単独では負いにくい状況だ。一方、小売りは電力が2年前、ガスが1年前の全面自由化で競争が加速しつつある。

東電との関係について、中部電の勝野社長は「切磋琢磨(せっさたくま)していきたい」と述べるにとどめた。東電幹部も「組めるところは組み、競争すべきところは競争するのは当然」と話す。ただ「感情的にはそう簡単に割り切れない」との声は東電、中部電の双方から漏れる。

もっとも、ライバル企業同士が場面によって是々非々で協力するのは他の業界では当たり前だ。韓国サムスン電子はスマートフォン販売で米アップルと競いながらも、ディスプレーや半導体メモリーを大量に供給している。様々な関係が入り乱れる複雑さに慣れていかなければ、規制に守られた従来の独占体制から脱却できない。

(小倉健太郎、小野沢健一、川上梓)

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