キプロスの分断と花 山本貴光
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いったい自分はいま何を見ているのか。私は1枚の大きな写真を前に言葉を失っていた。無理を承知で記せば、それはこんな写真である。できたら読みながら、頭のなかで光景を組み立ててみていただきたい。
晴れた薄水色の空に雲が流れ、低い砂山を背景に砂地が広がる。朽ちかけた建物があり、ヒツジの群れがいる。と、ここまでは異国の風景写真といった風情。問題はこの先だ。
砂地の中央にドラム缶が手前から奥に向かって並び、...
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