高級路線に進むエアビー、部屋の品質認証などを開始
米エアビーアンドビー(Airbnb)は民泊サービス「Airbnb」の高級化施策を2018年2月22日(米国時間)に発表した。同社のスタッフが部屋の快適さなどをチェックした上位グレード「Airbnb Plus」を設けたほか、高級貸別荘サービスなどを開始する。

同社のCEO(最高経営責任者)であるブライアン・チェスキー(Brian Chesky)氏は米サンフランシスコ市内で講演し、「Airbnbはサービス開始から10年が経過したが、これまでは代替宿泊手段にすぎなかった。今後はAirbnbを全ての人々にとってのサービスに変えていく」と主張。安価な「ホテルの代替品」だけではなく、ホテルに劣らない高品質な宿泊サービスを提供することで、Airbnbのターゲットを家族旅行や新婚旅行などあらゆる旅行需要に広げる方針を示した。

新グレードのAirbnb Plusは、エアビーアンドビーが派遣したスタッフが100項目からなるチェックリストに基づき部屋の「清潔さ」や「快適さ」「デザイン」などをチェックした部屋に与えられる格付けだ。従来はAirbnbで提供される部屋の品質はユーザーによる過去のレビューを頼りにするしかなかった。Airbnb Plusはスタッフによる「品質認証済み」の部屋となるため、ユーザーが安心して宿泊できるようになるという。
部屋を貸し出す「ホスト」はAirbnb Plusの検査を受けるために、149ドルをエアビーアンドビーに支払う。Airbnb Plusに選ばれると部屋の検索結果などで優遇される。Airbnb Plusの宿泊料金は1泊平均150~200ドル程度になる見込み。2018年2月22日からロサンゼルスやロンドンなど13都市でAirbnb Plusの部屋の予約を開始した。物件数は2000軒で、2018年中に日本でも開始する予定。
サービスの高級化で2019年の黒字化を目指す
もう一つの新グレードである「Beyond by Airbnb」は、エアビーアンドビーが2017年に買収した「Luxury Retreats」をベースにした高級貸別荘サービスだ。米国では「バケーションレンタル」などと呼ばれるサービスに相当する。宿泊施設だけでなく、リゾート地ならではのツアーなども提供する。
Airbnbの部屋タイプは従来「シェアルーム」「個室」「一軒家」の三つしか無かったが、今回から「バケーションホーム」「ユニークな施設」「B&B」「デザイナーズホテル」という新しいタイプも増やした。また新たに「家族向け」や「出張向け」といった用途別の部屋分類も追加。ユーザーが自分の用途に合った部屋や、思わず泊まりたくなるような部屋を見つけやすくした。
エアビーアンドビーは株式上場はせずに、2019年中に事業を黒字化する方針を掲げている。高級宿泊サービスを充実させて、従来とは異なる顧客層の獲得を目指すだけでなく、宿泊単価を上昇させることで、早期の黒字化を目指す構えだ。
(シリコンバレー支局 中田敦)
[日経 xTECH 2018年2月23日掲載]
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