2019年5月22日(水)

透視線(三宮恵利子)

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高木菜那、完璧なペース配分が導いた「金」

2018/2/25 19:15
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マススタートの高木菜那の試合運びは見事だった。序盤から韓国やオランダ勢の位置だけを見ながら、集団の中で息を潜める。レース途中の上位者に配分されるポイント目当てに前に出る選手がいても、惑わされない。残り3周で集団がばらけ出しても動かない。

最後の1周は、オランダのスハウテンがスパートを掛けると即反応。最後のコーナーで脚に疲労がたまったスハウテンが外に膨らみそうだと瞬時に判断し、小さく回ることだけを考え、内から一気に抜き去った。

女子マススタートで金メダルを獲得した高木菜=上間孝司撮影

女子マススタートで金メダルを獲得した高木菜=上間孝司撮影

マススタートは16周と長丁場で持久力が求められる一方、終盤はスプリント選手並みのスピードも必要だ。相反する2つの力が問われる中での鮮やかな逆転劇。常に集団の中や他選手の後ろで力を温存したことで、長所の瞬発力を最大限に生かせた。決勝だけでなく、1回戦でも早々とポイントを獲得して勝ち抜きを決めると、その後は力を抜いた。2レースを通じた試合運びのうまさが光った。

21日の団体追い抜きの経験もこの新種目に生きた。大人数で滑るマススタートは、練習相手を集める難しさから日常的なトレーニングが難しい。普通はワールドカップなどの実戦で経験を積むしかないが、日本は年間300日の合宿で団体追い抜きの練習に励んできた。そこで磨かれた周囲との距離感の取り方は、この種目にも通じるもの。高木菜は前の選手と近い距離を保つことで、風の抵抗をより小さくすることに成功した。

この種目はショートトラックのように体の小さいアジア勢に向いている面もある。日本選手は次の大会以降もメダルを十分に狙えるだろう。スピードスケート陣の1大会最多となるメダル数を6に乗せた点でも価値の高い「金」だったが、最後に平昌のお土産をもらったような気もしている。

常に高木美帆の姉という見方をされてきた菜那。今大会でも団体追い抜きで勝ったが、先頭として最長距離を引っ張った美帆の方が目立っていた。しかし、1人で臨んだこの種目。終盤の強さに勝負どころを逃がさぬ精神力。菜那にしかできない滑りを存分に見せてくれた。

(長野、ソルトレークシティー五輪代表 三宮恵利子)

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女子マススタートで金メダルを獲得した高木菜=上間孝司撮影

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