京都市の民泊条例成立 環境と観光の両立へ規制盛る

2018/2/24 1:31
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京都市議会で23日、民泊管理者に緊急時の駆け付けなどを義務付ける民泊条例が可決、成立した。観光客の増加で生活環境の悪化を懸念する声を反映した規制を盛り込み、民泊新法に合わせ6月に施行する。2020年の市内の観光消費額1.3兆円と目標額を3割引き上げるなか、悪質な民泊排除と高価格、高品質の民泊普及の両立へ具体策が問われる。

条例では住宅の集中する「住居専用地域」での民泊は町家物件で営業する場合や家主が物件内に居住する場合などの例外を除き、冬の閑散期の60日間のみに営業を限定する。市内の観光名所の多くは住宅地に散在しており、金閣寺や南禅寺、下鴨神社などの周辺ではほぼ営業が禁止される。

市内全域で管理者が緊急時などに10分以内に駆け付けられる場所での駐在を求める「駆け付け要件」も義務付けた。市長が認めれば条件を緩和する例外規定も盛り込まれたが、海外など遠隔地が拠点の事業者は市内に管理者を置く必要が生じ、収益確保が難しくなる物件が増えるとみられる。

条例可決に当たり市議会は「例外規定の運用は慎重に」とする付帯決議も採択。駆け付け要件により「家主が同居しない物件での民泊営業は困難で事実上の事業者排除だ」との声も聞かれる。一般社団法人の京都簡易宿所・民泊協会は「情報通信技術の活用で適切な対応がとれる体制構築」を前提に要件緩和を求める意見を表明した。

これに対し門川大作市長は「持続可能な観光、都市格の向上に向け、本市独自のルールを策定する必要があった」と改めて条例の必要性を強調。「監視指導の専任体制を設け、違法民泊の根絶と民泊の適正運営を徹底していく」と語った。

ただ、京都を訪れる観光客からは地域の住民の生活に近い宿泊をしたいという需要は根強い。単価を引き上げてでも京都らしい暮らしを味わえる高品質な民泊を営業しようという動きもある。

不動産業を営むフラット・エージェンシー(京都市)は北区などで7軒ほどの京町家を民泊として運用する方針だ。「文化的な関心の強い観光客にとって、町家の宿泊は魅力的で稼働率も比較的上がりやすい」と吉田光一会長。西陣織の織物体験や著名人との昼食会などをセットで提案することで連泊需要を狙う。

町家を中心に不動産業を手掛ける八清(同)の西村孝平社長は「マンスリーの賃貸物件の空いた期間に民泊を手掛け収益を確保する手段もある」と語る。設備の整った京町家の1棟貸しは1泊2万~4万円程度。外国人客の場合は3~4泊程度連泊する傾向がある。

京都市は20年の観光消費額の目標を従来の1兆円から1兆3000億円に引き上げる方針だ。16年の観光客は7年ぶりに前年を下回り、ホテルの新設、増床で宿泊施設の不足感は解消されつつある。目標達成には条例の趣旨を踏まえて古都の風情を守り、1人あたりの消費額を引き上げる取り組みが不可欠となる。(京都支社 山本紗世)

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