サムスン、LSIに6400億円投資 メモリー変調に備え

2018/2/23 21:08
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【ソウル=山田健一】韓国サムスン電子は23日、60億ドル(約6400億円)を投じてソウル郊外に半導体工場の新棟を建てると発表した。電子機器などの頭脳となるシステムLSI(大規模集積回路)の受託生産事業を広げる。受託生産で世界首位の台湾積体電路製造(TSMC)と競うと同時にメモリー市況の変調に備える思惑もある。

サムスン電子はEUVと呼ぶ技術を使う新棟を23日に起工した(金奇南社長、ソウル郊外)

サムスン電子はEUVと呼ぶ技術を使う新棟を23日に起工した(金奇南社長、ソウル郊外)

京畿道華城(ファソン)で新棟の起工式を同日開いた。2019年下期に完工し、20年に本格稼働させる。回路線幅が7ナノ(ナノは10億分の1)メートル以下と現行の先端品(同10ナノメートル)を上回る技術で次世代品を量産する。メモリー事業を主力とするサムスンが受託生産事業に数千億円の投資をまとめて決めるのは異例だ。

新棟は「EUV(極端紫外線)露光」と呼ぶ最先端の生産設備を使う。光の波長が現行の約15分の1と短い。回路の微細化は7ナノメートルが限界との見方もあったが5ナノメートル以下を可能にする見通し。EUVの装置は既存工場の一部で年内に取り入れ、新棟で増やしていく。車部品など新規の顧客を開拓し、世界4位にとどまる受託生産事業で「2位を目指す」(幹部)。

TSMCとサムスンはiPhone向けの受注を毎年競っている。近年はTSMCが連続で受注しており、18年モデルもリードしているもよう。19年モデルはサムスンの巻き返しを予想する見方がある。

「これから華城は半導体拠点の中心になる」。半導体部門を率いる金奇南(キム・ギナム)社長は23日こう述べ、主力のメモリー事業と受託生産事業の双方を担う華城の重要性を強調した。

サムスンの17年12月期の半導体部門の売上高は約74兆ウォン(約7兆4千億円)。世界首位のメモリーが8割超で残りはシステムLSIの受託生産やイメージセンサーなどとみられる。利益も大半がメモリーだがNAND型フラッシュメモリーは18年に入りスポット(随時取引)価格が3カ月前と比べ1割安前後で推移。強い追い風が吹いた17年から市況は変わりつつある。DRAMも19年以降は不透明だ。

一方、システムLSIは次世代の「5G通信」で「需要が大幅に伸びる」(韓国SK証券)。傍流の受託生産事業の大型投資に踏み切る裏には、メモリーの歴史的な好況に対するサムスンの不安が見え隠れする。

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