宇部興産系列会社、品質検査行わず出荷 90年代から

宇部興産は23日、グループ会社の宇部丸善ポリエチレン(UMP、東京・港)が一部製品について、顧客と取り決めた品質検査を行わずに出荷していたと発表した。1990年代から不正が続いていたという。「法令違反や品質に問題点はない」(宇部興産)としている。外部の弁護士らを交えた調査委員会をすでに設置しており、3月末をめどに調査結果を公表する予定。
不正があったのは汎用樹脂の「低密度ポリエチレン製品」で、主に電気や通信用ケーブルを覆う材料。全部で75項目ある品質検査のうち、強度などについて合計で16項目の品質検査を実施せず、過去のデータを転用していた。出荷先の企業は33企業グループで、合計50社。
山本謙社長は23日、都内で記者会見を開き「内部統制の脆弱性や、倫理観が非常に不十分だった。不適切な状況を是正できなかったことは経営者の責任そのもの。2度と起こらないよう再発防止策を行うことが私の責務」と話した。
詳細は調査中だが、不正を把握していたのは「当該製品を担当する部署のメンバーと、それを管理する直属の上司など。狭い範囲で、自己完結的に不正が続いていた」(山本社長)としている。
昨年12月11日に不正が発覚し、内部調査を経て、12月25日に概要を把握した。「今年1月中旬から納入先の顧客に説明をしていたことなどから、発表までに時間がかかった」(山本社長)という。
不正が発生した低密度ポリエチレン製品は年間出荷量が約1万3000トン。宇部丸善ポリエチレンが販売し、宇部興産の千葉石油化学工場が生産を請け負っている。UMPは宇部興産と、丸善石油化学が50%ずつ出資。UMPの2016年度の売上高は250億円で、不正対象となった今回の製品は売上高のうち約7%。
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