2018年9月26日(水)

日産・DeNA 自動運転の先、サービス磨く実証実験

自動運転
2018/2/23 13:00
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 日産自動車ディー・エヌ・エー(DeNA)が3月5日から約2週間、自動運転車を使った交通サービス「イージーライド」の実証実験を横浜市内で行う。ネットで募った一般モニター約300組にサービスを体験してもらい、専用アプリの使い勝手などを検証する。2020年代早期の実用化を目指す同サービスを、一足早く記者が体験してみた。見えてきたのは自動運転そのものの検証もさることながら、その先に展開するサービスを磨こうとしている実証実験の狙いだ。

アプリに「ハンバーガーが食べたい」と声で入力すると、複数の候補の中から目的地を選択できた。

アプリに「ハンバーガーが食べたい」と声で入力すると、複数の候補の中から目的地を選択できた。

 実証実験の舞台は日産の本社がある横浜市のみなとみらい地区。日産本社から商業施設「横浜赤レンガ倉庫」前までを回る全長約4.5キロメートルのルートに4つの乗降ポイントを設定して、一般モニターは専用アプリを使ってこの中から乗り降りしたい場所や配車予約時間を指定する。

「何しに行く?」アプリが目的尋ねる

 記者は日産本社前の車寄せから赤レンガ倉庫方面に向かうことにした。イージーライドのアプリを起動すると「何しに行く?」と尋ねる画面が開いた。声で「みなとみらいでハンバーガー」と答えると、画面には目的地周辺にある複数の店舗候補が表示された。

配車予約時間になると車両が指定した乗車ポイントに自動運転でやってきた。

配車予約時間になると車両が指定した乗車ポイントに自動運転でやってきた。

 今回は商業施設「横浜ワールドポーターズ」周辺にあるハンバーガー店を選択した。配車を予約した時刻になると、日産本社前の駐車場に停車していた自動運転車が車寄せに近づいてきた。運転席には万が一に備えて日産のスタッフが座っているものの、ここからすでに自動運転は始まっていた。自動運転車は電気自動車(EV)の先代「リーフ」をベースに開発している。自動運転に必要なセンサー類は車体に埋め込まれ、一見すると普通のリーフと変わらない。

 サービスが実用化した段階では運転席に人が乗っていないことが前提となるので、アプリで自らドアを解錠し、後部座席に乗り込んだ。ドアを閉めると、前席との間に設置されたタッチパネルにはシートベルトを締めたかどうかを確認する案内が表示された。シートベルトを締めて「OK」のボタンを押すと、まもなく車はひとりでに動き始めた。

約10分間の走行中、運転席に座ったスタッフが自動運転の操作に介入することはなかった。

約10分間の走行中、運転席に座ったスタッフが自動運転の操作に介入することはなかった。

 試乗コースの公道では一般の車両も走っていたが、イージーライドの自動運転車は人の運転と同様に違和感なく、走行ルートを進んでいった。運転に必要な「認知」「判断」「操作」の役割は全てトランク周辺に搭載したコンピューターが処理しているという。10分ほどの乗車中、運転席のスタッフが運転に介入することはなかった。

運転スムーズ、画面にはクーポン

 走行中、車内のタッチパネルには目的地周辺の飲食店などで使える割引クーポンが次々と表示された。ボタンを押せばスマホのアプリにダウンロードして、実際に店舗で使うことができるという。観光客らの利用を想定した広告収入の仕組みが、今回の実証実験の段階から用意されていたのは意外だった。

車載タッチパネルの操作で、目的地周辺の飲食店などのクーポンを受け取れた。

車載タッチパネルの操作で、目的地周辺の飲食店などのクーポンを受け取れた。

 無事に目的地であるワールドポーターズ前の乗降ポイントに到着すると、車載タッチパネルの画面は「ドアが開くまでしばらくお待ちください」との表示に切り替わった。係員の案内に従って車を降りると、スマホの画面には「ご乗車ありがとうございました」とのメッセージが。車を降りてしばらくすると、自動運転車は再び日産本社へと立ち去っていった。

 実証実験を体験して印象に残ったのが、日産とDeNAのアプリの操作性へのこだわりだ。例えばケーキ店でいったん降車し、買い物を終えたころの10分後に戻るように設定できるようにすることも検討している。乗車地から目的地までの単純な配車サービスにとどまらない、様々な消費者ニーズをくみ取ろうとする姿勢が垣間見えた。

自動運転サービスの競争力どこに

 海外では米グーグル系の自動運転技術開発会社ウェイモが欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)から調達した車両を使い、アリゾナ州で無人ライドシェアサービスの実験を加速している。米ゼネラル・モーターズ(GM)も19年にハンドルが無い自動運転車の量産モデルを市場投入する方針を示している。

目的地に到着後、車を降りると車両は自動運転で日産本社に戻っていった。

目的地に到着後、車を降りると車両は自動運転で日産本社に戻っていった。

 現在は各企業が独自の自動運転技術の開発を競っているが、仮にスマホと同じように自動運転のための基本ソフト(OS)がオープンソースで提供される時代になれば、車両そのものにメーカーごとの違いはなくなっていく可能性がある。日産とDeNAはそうした時代の到来を見越した上で、ユーザーとの接点となるアプリの使い勝手の面で、競合サービスとの違いを生み出そうとしているように感じた。

 規約への同意など煩雑な手続きが求められるにもかかわらず、一般モニターには千数百組の応募があったという。消費者の意見を取り入れながらどこまで使い勝手を高められるかが、将来の新サービスの競争力を左右することになりそうだ。

(企業報道部 白石武志)

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