五輪のビッグエアは3本跳び、回転方向の違う技の上位2つの合計点で競う。岩渕麗楽は4位と頑張ったが、成功しうる高難度技は「右回転」しか持ち合わせていない。優勝したガサーは今回は繰り出さなかったものの、DC10を右回転でも左回転でも決められる。2位のアンダーソンも同じ。難度だけでなく、レパートリーの広さでも「2強」とは差があった。
残念だったが、この種目は16歳の岩渕よりさらに若い世代がめきめきと台頭しつつある。岩渕が今回決められなかったDC10よりさらに難しく、世界で誰も決めていない技を、練習とはいえ成功させた13歳もいる。東北のジャンプ施設で腕を磨いた岩渕に続けとばかりに、予備軍として新世代が育っているのだ。北京五輪に期待したい。
男子のビッグエアでは今やトップクラスはダブルコークにとどまらず「クアッドコーク」の技を跳ぶ。ただ、24日の決勝ではその競演は楽しめないだろう。国際スキー連盟による今回のジャンプ台の高さ・着地面の長さなどの仕様は、最高峰とされるXゲームとは違うからだ。
スキー競技の「一部」として追加されたのが五輪スノボの歴史。Xゲーム側の国際団体があっても、国際スキー連盟とのパイプは太くない。コース設計ではXゲーム側のノウハウや良さを生かせばいいと思うのだが、スキー界は「自分たちでできる」とかたくなとも聞く。スロープスタイルでは採点法にXゲームのそれが反映され、項目ごとの得点も考慮された。歩み寄れる部分を歩み寄れれば、面白さの幅も広がるのではないか。
新興種目といえるスノボ界にとって、五輪は4年に1度のビッグチャンス。平野歩夢がハーフパイプ(HP)で頂上決戦にふさわしい勝負をみせ、"若者のスポーツ"というだけではない目線から、魅力を楽しんでもらえたのではと思う。
一方で「大会でなければ、こんな高回転の技はしたくない」と漏らす選手もいる。独創性や個性こそスノーボードの大本、本流。HPで高さもアピールし、滑りそのものでもみせた平野のスタイルは、だからこそ価値がある。続く世代は強さとともに、彼の良さも引き継いでほしい。クルクル回るだけでなく、スノボの醍醐味も失わずに強くなることを願っている。
(スノーボード専門誌編集長 野上大介)
五輪のビッグエアは3本跳び、回転方向の違う技の上位2つの合計点で競う。岩渕麗楽は4位と頑張ったが、成功しうる高難度技は「右回転」しか持ち合わせていない。優勝したガサーは今回は繰り出さなかったものの、
負け惜しみではなく、ホワイトが優勝をたぐり寄せた決勝3本目のラン(演技)よりも、平野歩夢が2本目に決めたルーティンの方がスキルは高いと思っている。95.25点の採点は低すぎる。
ホワイトの3本目をス
ハーフパイプ(HP)で縦に2回・横に4回転する大技「フロントサイドダブルコーク1440」は世界で一握りのライダーしかできない。決められる平野歩夢でも、1度やれば「呼吸が続かなくなる」という。
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