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増える格安iPhone 大手キャリアと2年費用を比較

NIKKEI STYLE

これまでAndroid端末が多かった格安スマートフォン(スマホ)のラインアップに、iPhoneを選べるケースが増えている。日本で人気の高いスマホを選択肢に加えることで、新しいユーザーを獲得することが狙いだ。気になるのは料金だが、大手通信キャリアに比べ、2年間で6万円以上も費用を抑えられる場合もあるという。

◇  ◇  ◇

格安スマホでiPhoneが選べる

格安SIMサービス「mineo」を提供するケイ・オプティコムは、2018年2月15日からアップルの「iPhone 7」「iPhone 7 Plus」の取り扱いを開始した。3月4日現在、すでに両モデルとも完売となっており、iPhoneシリーズの人気の高さをうかがわせる。

最近、格安スマホでiPhoneを選べるケースが増えている。競争が激しい格安スマホ市場において、一人でも多くのユーザーを獲得するためだ。

これまで格安スマホはAndroidが中心。大手通信キャリアから乗り換えてもiPhoneを使い続けたい場合、今まではアップルが販売しているSIMフリー版iPhoneを購入するか、大手通信キャリアの中古端末を手に入れるしか方法がなかった。どちらも格安スマホを契約するより手間がかかる。

そこに目をつけたのが、新たなユーザー獲得を狙う格安スマホブランドだ。Androidの格安スマホを契約するのとおなじように「格安スマホ版のiPhone」も選べるようにした。ターゲットは、大手通信キャリアで使い慣れたiPhoneを格安スマホでも使い続けたい人や、最新機能よりもコストの安さを重視する「iPhone好き」なユーザー。iPhone 6sとiPhone SEを販売するBIGLOBEは「コストの安さから格安スマホに関心を持つユーザーのうち、『iPhoneにこだわりのある若年層』や『iPhoneを使いたいママ層』を主なターゲットに据えている」という。

2018年2月までの時点で、iPhoneを販売したことがある主なキャリアは、mineo以外では、ソフトバンクグループの「ワイモバイル」、UQコミュニケーションズの「UQ mobile」、BIGLOBEの「BIGLOBEモバイル」。また、楽天の「楽天モバイル」のように、国内で販売されているiPhoneとは一部の仕様が異なる、海外販売モデルのiPhone SEを取り扱うケースもある。

2年間で6万円以上安いケースも

格安スマホで選べるiPhoneは、大手キャリアとくらべ、どのくらいコストを抑えられるのか。実際に、大手キャリアと比較してみよう。

キャリア版の代表としてドコモのiPhone 8(64GBモデル)をピックアップ。BIGLOBEモバイル/ワイモバイル/UQ mobileのiPhone 6s(32GBモデル)と比較してみる。価格を重視して、それぞれ容量が最も少ないモデルを選択。料金プランはドコモに合わせて毎月2ギガバイト使えるものを選んだ。なおドコモは新規契約やMNPではなく機種変更を想定している。

本体価格は次のようになる。

●ドコモ:8万8776円(iPhone 8) 
●BIGLOBEモバイル:6万912円(iPhone 6s) 
●ワイモバイル:7万524円(iPhone 6s) 
●UQ mobile:5万9724円(iPhone 6s) 

料金プランの月額料金も含めた2年間の合計コストを試算してみると、差は広がる。ドコモの17万3664円(「カケホーダイライトプラン」&「データSパック」の場合。毎月2ギガバイトまで)に対して、BIGLOBEモバイルは10万7956円(「スマホまる得S+プラン」の場合。毎月3Gバイトまで、キャッシュバックキャンペーン適用時)、ワイモバイルは11万6661円(「スマホプランM」の場合。2年間は毎月6Gバイトまで)、UQ mobileは11万6229円(「おしゃべりプランM」または「ぴったりプランM」の場合。2年間は毎月6Gバイトまで)。差額は最も大きなBIGLOBEモバイルで6万5708円となる。

ちなみにドコモはiPhone 7とiPhone SEも扱っている。この場合、2年間のコストは15万2928円と15万8112円(両機種とも32GBモデルの場合)。価格差は小さくなるが、まだ格安スマホブランドのほうが安い。

MVNOのiPhoneにはデメリットも

もちろんデメリットもある。

最大のネックは、やはり最新機種が選べないことだろう。2017年に発表されたiPhone 8、iPhone 8 Plus、iPhone Xは選べない。格安スマホブランドが扱うiPhoneでもiOSの最新版である「iOS 11」に対応するが、iPhone 8やiPhone Xで導入されたワイヤレス充電機能、指紋認証機能の「Touch ID」に代わる顔認証機能の「Face ID」(iPhone Xのみ)といった、端末のハードウエアに依存する新機能は利用できない。

また、大手通信キャリアのようなキャリアメールが使えない、通信の利用が集中する時間帯には通信速度が極端に遅くなるという格安スマホの弱点は、iPhoneでも変わらない。大手通信キャリアのサブブランドとも呼ばれるワイモバイルやUQ mobileは通信速度が比較的速く、独自のキャリアメールも用意されているが、料金プランは最大でも毎月7ギガバイトまでしか選べない。新規契約時のキャンペーンが適用されても毎月14ギガバイト(最初の2年間)までなので、大容量プランを求めるユーザーには厳しいだろう。

さらに、大手携帯キャリアでは家族割引が充実している。例えばNTTドコモでは、家族向けのパケットパック「シェアパック」を親回線が契約し、子回線と通信容量を分け合うことで、家族全体の通信コストを節約できる。

もしも子回線を契約する家族が前述のiPhone 8(64GBモデル)を機種変更で購入した場合、2年間のコストは9万5904円(「カケホーダイライトプラン」&「シェアオプション」の場合。通信容量は親回線のシェアパックに依存する)だ。シェアパックは単身者向けのパケットパック「データパック」よりも割高なので一概には言えないが、家族割引が利用できるなら格安スマホのiPhoneより安いコストで済む場合もある。

もっとも「通信速度の品質」「キャリアメールの有無」「家族割引によるコスト節約」といった要素は、iPhoneに限らず、大手携帯キャリアと格安スマホを比較する上で検討すべきポイントだ。これらを踏まえつつ、旧モデルでも構わないというのであれば、魅力的な選択肢となるだろう。

(ライター 松村武宏)

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