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フィギュア女王へ至高の戦い 23日にフリー

SPは自己ベスト続出

 30人によるフィギュアスケートの女子ショートプログラム(SP)が行われ、ともに初出場の日本勢は19歳の宮原知子(関大)が自己最高を塗り替える75.94点で4位、17歳の坂本花織(シスメックス)も自己ベストの73.18点で5位につけた。今季のグランプリファイナル優勝の15歳、アリーナ・ザギトワ(OAR)が82.92点の世界歴代最高をマークして首位に立った。世界選手権2連覇中のエフゲニア・メドベージェワ(OAR)は自己最高の81.61点で2位。昨季世界選手権2位のケイトリン・オズモンド(カナダ)が78.87点で3位。上位24人が23日のフリーに進んだ。

4位宮原、雪辱の連続3回転

団体に続いて目立ったミスはなく、最後まで流れるような演技だった。しかし、団体の時のような演技後のガッツポーズはない。自分の手応えと違い、団体では冒頭の3回転ルッツ―3回転トーループが回転不足をとられた。今回も映像レビューがかかっていた。

女子SPで演技する宮原=山本博文撮影

「70点とれればいいな」。団体より1点ほど高めの予想をしていた得点は75.94点。回転不足はとられず、自己ベストを1年2カ月ぶりに1.3点更新し、「やっと75点が出ました。すごくうれしい」と喜んだ。

1年前、股関節を疲労骨折した影響か、ジャンプの高さが出ず、以前のように回ったつもりでも回転不足になった。年明けから急ピッチで仕上げていたが、団体では微妙なところをことごとく回転不足にされた。

ここで痛い目にあったのが良かったのだろう。一度日本で練習して戻ってくると、回転不足は激減していた。

この日も「6分練習ですごくいいイメージがあった」。本番は力が入り、冒頭の3回転ルッツを降りた時の記憶がない。「次の3回転トーループのことばかり考えていた。こっちはバンと降りたと思った」。いい感触はあった。ただ、ジャンプに気を取られすぎたか、「最後まで緊張しているのを感じた。団体の方がノビノビ滑れたかな」。演技後に爽快感はなかったから、得点が出るまで落ち着かなかった。

五輪のメダルがほしい。最終グループで滑った仲間の思いは一緒。「みんな気合が入っている。今まで頑張ったことをすべて出したい」。最も小柄な宮原だが、一歩も引くつもりはない。

5位坂本、鮮烈ジャンプ

女子SPで演技する坂本

よほど緊張していたのだろう。演技を終えた坂本は、ガッツポーズが出たものの、どこか目が泳いでいた。

「出だしで1歩進んだ瞬間つまずいた。うん?と思って、気持ちが楽になった」と坂本。SPではジャンプを全て基礎点が1・1倍になる演技後半に集めているのも、緊張がほぐれるためにはよかったかもしれない。

SPはベートーベンの「月光」。ゆっくりなメロディーに合わせて、スピンをし、ステップを刻む。体がほぐれたところで後半はスタート。一転、アップテンポになったピアノの旋律に合わせて、坂本は鮮やかに3回転フリップ―3回転トーループを決めた。残り2つのジャンプも危なげなく、スピン、ステップの取りこぼしもなかった。

自己ベストを更新する73.18点に、「やってきたことが認めてもらえた」と大喜びだ。演技構成点は全体の8位だが、すべてのジャンプで加点がつき、連続ジャンプは1・4点とメドベージェワと同じ。「そういうところ(技術点)でしか点が稼げんから」と、強みを熟知して高得点につなげた。

滑走順も恵まれた。上位陣が登場し始める第4グループの第1滑走。団体では前滑走者の好演技に「気持ちが揺れてしまった」が、今回はその心配はなかった。さらに緊張に備え、団体戦後に日本に戻って特訓した効果もあった。「内容は内緒。体を動きやすくした」

3位と5.69点差。メダルの可能性を聞かれると、「30%、いや20%かな。まだまだ上の人と戦えるレベルじゃない」と言いながらも、まんざらでもなさそうだった。

首位ザギトワ、泰然

同じクラブの先輩、18歳のメドベージェワが世界歴代最高点を出すと、15歳のザギトワが約20分後にあっさりと更新した。キスアンドクライで82.92点という数字を見ても、喜びを爆発させるわけでもない。「私の人生最高のパフォーマンスだけど、まだ成長できる余地はある」。本当に15歳なのかと疑いたくなるほど、落ち着き払った演技で堂々の首位発進だ。

女子SPで世界歴代最高点を取ったザギトワ

3本のジャンプ全てを得点が1.1倍になる後半に組み込み、しかも連続3回転ジャンプはルッツ―ループという大技。それでも12月のグランプリファイナル、1月の欧州選手権を制した天才少女の安定感は際立ち、悠々と決めて加点を得る。スピード感満点のスピンで観衆をとりこにし、演技構成点も全て9点台が並ぶ圧巻の演技だった。

「OAR」としての出場。なぜロシア勢は強いのかと質問が飛ぶと、「本当にスケートを愛していて、すごく集中してトレーニングしているから」とさらり。23日のフリーで1998年長野五輪のタラ・リピンスキー(米国)に次ぐ史上2番目の年少「金」に挑む。

2位メドベージェワ、冷静

4年前、メドベージェワはソチ五輪を夢中になって見ていたという。「『五輪は本当にマジカルよ』って言われた。その通りね」。その魔法にとらわれたか、いつもより動きが硬い。

それでもプログラムに綻びを感じさせないのが、18歳の女王だ。団体SPに続き、世界最高得点である自己ベストを更新した。「私のベストな演技ではなかった。でも落ち着いていたし、さほど緊張しなかったから満足」と、はきはきと話す。

世界選手権を2連覇し、五輪への視界は良好だった。だが、昨年11月に右足疲労骨折が判明。その間にザギトワが急成長、1月の欧州選手権で約2年ぶりに負けた。今回も自分の後に滑ったザギトワに抜かれて2位スタートだ。「若い選手は出てくるもの。私もそうだった。今、彼女は何もかもが初体験で、楽しくって仕方ないんだと思う」と、冷静に見ている。

どの試合でも具体的目標を決して語らない。OAR勢初の金メダルの可能性についても「フリーもクリーンな演技をしたい」とメドベージェワ。クールに、フリーで逆転を狙う。

3位オズモンド、躍動

カナダの一員として金メダルに輝いた団体戦ではSPでミスが出て不本意な演技だっただけに、「集中して練習してきた」とオズモンド。さすがは昨季の世界選手権銀メダリストで、ジャンプをきっちり修正して自己ベストを更新する78.87点で3位発進だ。

冒頭の連続3回転ジャンプを鮮やかに決めて1.9点の加点を得ると、残るジャンプも着実に成功。演技は躍動感にあふれ、観衆から手拍子もわき起こった。22歳は「ただ自分のプログラムを楽しみたかった。とても幸せな気分」と満面の笑みを見せた。

(原真子、金子英介)

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