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フィギュア宮原、五輪の「魔物」に勝つ

2年前、高校を卒業する時、宮原知子(関大)は卒論を書いた。テーマは「五輪に魔物はいるのか?」。4年前のソチ五輪は選考会4位で、出場を逃した。次こそ出たいとテーマを決めた。

高橋大輔、織田信成ら練習拠点が同じ先輩たちに聞いて回って得た結論は、「魔物は自分が作るもの」。試合経験を通じて、自分を信じることが一番大事だと知った。「自分が勝手に作り出す不安が、それを邪魔する」。平昌は、その結論を確認に行く旅だ。

公式練習で調整する宮原知子=共同

まるで試練の連続のように、この1年、不安しか生み出さないような出来事が次々と起きた。1年前に左股関節の疲労骨折が判明、1カ月間ほど東京でリハビリに努めた。だが、7月に氷上復帰した途端、アイスショーでねんざした。そこから次から次へと痛みが出て、思った以上に復帰に時間がかかった。

おっとりしていて、おとなしい性格だ。同じスケートクラブの子供たちに圧倒されて、部屋の隅っこで小さくなってお弁当を食べる姿は度々目撃されている。その分、忍耐力があり、復帰までのリハビリにもくじけない。一方、「シャイで人見知り」と自覚する性格は、フィギュアスケートではマイナスだった。

「これが出たがりになった」と浜田美栄コーチ。招待された夏のショー、10月のフィンランディア杯。「どれもこれも『出たい』という。人前で何かすることが好きになり、選曲でも衣装でも積極的になっていった」と目を丸くする。

氷に乗れない間もスケートにかかわっていたかったのだろう。日本で最も注目度の高いスポーツの一つで、長年、世代のトップクラスにいたのだ。スポットライトも恋しくなったのだろうか。昨年11月のNHK杯で復帰して以降、メディアでの受け答えが抜群に面白く、声は大きくなった。

故障乗り越え「今はワクワク」

「五輪はすっごい楽しみ。ワクワクする」。五輪の話になると、遠足前の子供のように目を輝かせる。選手村では夜になるとライトアップされる各国の旗が「メチャメチャきれいで写真に撮りました」。こんなはしゃぎっぷりは、今まで人前で見せたことはなかった。

11日の団体戦SP。「ドキドキとワクワクでいっぱい」で、魔物が入る余地はなかった。最後はガッツポーズも出る演技だったのに、得点は伸びなかった。ジャンプの回転不足が原因だった。

それから約10日、一度日本に戻って調整してきた。回転不足の判定は審判によって変わるので悩ましい。「跳ぶ時にグッと高く上がること、降りる時はエッジ(刃)でバンと降りるように意識する」と宮原。バンってどういうこと? 「半分くらいは気合です」

羽生結弦ら日本男子がつくった熱狂の余韻はまだリンクに残る。「最終グループの日本男子くらいの雰囲気を出せるか分からないけど、自分らしく滑りたい」。SPの曲「SAYURI(映画より)」のように、芯の強さを見せつける。

(原真子)

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