/

仕事でも余暇でも……24時間ネコまみれ(日経MJ)

きょう2月22日は2(にゃん)、2(にゃん)、2(にゃん)の「猫の日」。空前のネコブームの今、四六時中ネコと一緒にいたい、という人々が街にあふれ出している。その信条は「ネコファースト」。イヌ好きとは行動様式が全く違うらしい。「ネコなしでは生きていけない」と言う二村記者(通称ニャムラ)らにネコ好きの生態を探らせると、本当にネコまみれの1日が待っていた。

ネコヨガで心も緩む

ネコカフェで開かれるヨガ

正午 記者もネコと同じく夜型。飼いネコが引き留めるのを振り切って取材へ家を出る。保護猫カフェ「猫縁」(東京・杉並)ではネコ好きに定番の朝活「ネコヨガ」が開かれていた。

「ネコと一体になる感覚でー」。インストラクターの声に導かれて7人の生徒が瞑想(めいそう)に……と、その瞬間、生徒の間を2匹のネコが走り抜けていった。「かわいい!」いつの間にか撮影会がスタート。

13匹いるネコの存在を五感でたっぷり感じるヨガのはずが、ネコが体に乗ってきたり、パンツのひもにじゃれついたり、邪魔ばかりしてくる。

「体を動かすよりネコ優先」。参加者の渡辺和代さん(51)は開始早々ひざに乗ってきたネコを30分以上かわいがっていた。ヨガはもういいの?

ヨガポーズを決めながら猫から気付きをもらう(東京都杉並区の猫カフェ「猫縁」)

インストラクターの池迫美香さんは「体を緩めるには心も緩めることが大事。ネコがいると自然と体のかたさがとれていく」と「効能」を語る。

実際、「もっと楽に生きなよーって言われてる気分」と参加者の菊池恵美さん。毎回ヨガの最後にはネコを思って涙を流すほど没入している。

午後3時 上司から「働いているのか」とメール。後ろ髪を引かれながらも次に向かったのは、「猫の居る休憩所299」(東京・豊島)。またネコカフェ? 違うんです。部屋の一角に大きなオフィステーブルが置かれ、電源、Wi-Fiも完備。ここぞ「ネコワーキングスペース」。

午前11時の開店直後から滞在しているという会社員の小沢浩樹さん(37)は「ネコのいる所でできるだけ長く過ごしたい」と週1回はここに10時間以上いる。仕事しないのか聞くと「集中できそうにないので僕は……」と苦笑していた。本当にいいの?

居酒屋で「ネコ飲みクス」

人が仕事に費やす時間は人生の3割という。その時間をネコと過ごせたら……。にやけながら席につくと1匹のネコが横に座った。なでながらスマホを見ると上司からの叱責メールが着信。でも何となく素直な気持ちで読めるかも。

猫の方から近寄ってくるチャンスに恵まれれば自然と顔がほころぶ(東京都新宿区の神楽坂もんじゃ)

午後7時 上司とのやり取りも一段落。仕事終わりの一杯は外せない。足を運んだのは、小説「吾輩は猫である」の夏目漱石ゆかりの街、東京・神楽坂。居酒屋「神楽坂もんじゃ」では2匹のネコが気が向けば出迎えてくれる。店のおばちゃんが忙しそうにもんじゃ焼きを焼くのを尻目に、優雅に店内を巡回するネコたち。

 「ネコもおかえりと言ってくれてるのかな」とうっとりするのは常連の遠藤茂さん(53)。「ネコって強引に近づかないし、嫌なら逃げるし、本能で生きてる。居酒屋でも同じスタイルで飲めたら最高でしょ」と、つかず離れずの距離感が気に入っている。これぞ「ネコ飲みクス」。

真のネコ好きは猫かわいがりはしないもの。その後、ネコたちは奥へ引っ込んでしまったが「いいのいいの。そばにいてほしいけど、どっかにいればいいから」と遠藤さんは飲み続けていた。

仕事帰りの人たちを猫店員が出迎える(東京都世田谷区のキャッツミャウブックス)

午後8時 ネコ不在に耐えられず、次の店にはしごすることに。東京・世田谷の住宅街。路面電車に揺られて着いた先にあるのが「キャッツミャウブックス」。扱っている本の内容はもちろん、店長も店員もネコだという書店だ。最年長で「店長」の三郎や保護猫4匹が出迎える。

オーナーは会社員の安村正也さん(49)。「ネコと本、ビールに囲まれて暮らしたい」という願望を自ら形にしてしまった。買い取った中古住宅を改装して1階を書店、2階は自宅として使っている。店内ではビールやコーヒーを提供し、午後10時まで営業している。

ネコ好きの友人と会社帰りに訪れた都内の会社員、三宅慶子さん(31)の膝の上に若ネコがパっと飛び乗った。「イヌ派だったけれどたった今、ネコ派になりました」とイチコロに。戌(いぬ)年なんてニャンぼのものニャ! ネコ好きはこうして増殖していく。

1泊2日の「ネコ同伴」も

土曜・午後6時 週末こそ息抜き。温泉地・神奈川県湯河原町の古風な旅館「まいきゃっと」ではネコと一晩一緒に過ごすことができる。

衛生面への配慮から素泊まり限定だが、併設するネコカフェのネコ12匹から好きなネコを選んで客室に連れて来られるシステム。昨年7月に開業して以降、ネコ好きの間で話題沸騰だ。

併設の猫カフェにいる猫と同伴宿泊できる(神奈川県湯河原町のまいきゃっと湯河原店)

夫婦で訪れた静岡県の会社員、山田章文さん(26)は「5時のチェックイン前に夕食もお風呂も全部済ませた。寝るまでたっぷりネコと遊びます」と"ネコファースト"全開。昨年12月に初めて訪れ、今回でもう3回目だという。妻の詩織さん(26)は「一回一緒にいるとまた会いたくなっちゃう」と目を細める。

ネコ好きは国境だって軽々と越えてしまう。「中国や台湾からの客も増えている」と運営者の落昭弘さん(40)。3月末まで予約で満室という。

ネコ好きの世界はニャンダーランド。充実した取材結果にほくほく顔で帰宅すると、飼いネコがさみしそうに「ニャーン」とひと鳴き。ほったらかしでごめんね。

(企業報道部 世瀬周一郎、二村俊太郎)

[日経MJ2018年2月21日付を再構成]

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン