2018年9月22日(土)

その時、自衛隊どう動く
Self Defense

日本の守り
2018/2/20 20:00
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 平昌冬季五輪の期間は自制している北朝鮮が再び挑発行為に出れば、朝鮮半島の緊張は高まる。トランプ米大統領は「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」と軍事行動を否定しない。避けたいシナリオではあるが、有事になった場合、自衛隊はどう動くのか。

(1)朝鮮半島有事(重要影響事態)

 北朝鮮が米国西岸沖に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射。米国は「レッドラインを越えた」として北朝鮮のミサイル基地を攻撃した。米軍は日本政府に米艦船への補給や不審船の船舶検査など後方支援を要請してきた。

 日本政府は国会の承認を得て後方支援に踏み切った。海上自衛隊の補給艦や航空自衛隊の空中給油機を派遣。米艦艇への洋上給油と米戦闘機への空中給油をした。

 北朝鮮に武器を運ぶ可能性がある不審船の公海での検査にも乗り出した。海上自衛隊の護衛艦の乗組員が日本海で不審船を見つけた。船長の同意を得て積み荷の検査の実施を試みたが、船長が拒否して不審船は逃走。検査はできなかった。船長の同意を前提とする船舶検査法の課題が浮き彫りになった。

 在韓邦人を退避させるため日本政府は韓国政府に自衛隊の派遣を打診したが、韓国は自衛隊に拒否反応が強い国民感情に配慮し受け入れを拒んだ。在韓邦人は自力で釜山まで移動し、そこから米艦艇に乗って日本に向かった。

(2)米にミサイル発射(存立危機事態)

 北朝鮮は「米国領グアムを火の海にする」と宣言し、長距離弾道ミサイルを撃った。「落下地点はグアム」。米軍は早期警戒衛星で発射を探知し、日本政府に伝えた。

 日本政府は日本の存立が脅かされる明白な危険がある「存立危機事態」と認定した。日本が直接攻撃されていなくても武力を使える集団的自衛権を初めて行使。米軍からもらった情報を踏まえ、太平洋に配備した海上自衛隊のイージス艦が迎撃ミサイルを発射し撃ち落とした。

 米軍は艦艇防護や機雷掃海などの支援も求めてきた。海自は掃海艦「あわじ」を派遣し機雷掃海をした。在韓邦人を釜山から輸送する米艦防護の任務にもあたった。

 米軍はさらなるミサイル発射に備え、ミサイルの警戒監視のためにイージス艦を派遣。海上自衛隊に防護を求め、政府はこれに応じた。レーダーを上空のミサイル探知に集中させるイージス艦は、地対艦ミサイルへの対処が手薄になるためだ。海自のイージス艦は北朝鮮が発射した地対艦ミサイルの迎撃に成功した。

(3)日本有事(武力攻撃事態)

 北朝鮮は「米国だけでなく、米国に追従する勢力も火で沈める」との声明を発表した。青森県三沢市、神奈川県横須賀市、沖縄県と在日米軍がある具体的な地名を挙げ、攻撃すると宣言。直後に弾道ミサイルが発射された。

 落下時間は○時○分ごろ、落下予想地域は在日米軍の△△基地周辺――。弾道ミサイルが発射されると、米国の早期警戒衛星が即座に発射時刻、ミサイルの種類、着弾予想時刻、落下予想地域を分析。航空自衛隊のレーダーなどによる追跡データなどとともに迎撃部隊に送られた。

 日本海に配備された海自のイージス艦が迎撃ミサイルを発射したものの失敗。ミサイルは大気圏に再び突入した。空自の地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)が落下段階で撃ち落とした。

 日本海の離島には武装集団が上陸した。首相は防衛出動を命じ、海自の護衛艦から砲撃。陸上自衛隊はヘリコプターを派遣して応戦した。東京・市ケ谷では自衛隊指揮通信システム隊がサイバー戦への対応に追われた。

▼自衛隊の「〇〇事態」とは?

 安全保障関連法は自衛隊の行動を事態ごとに規定する。外国から直接攻撃を受ける「武力攻撃事態」では、首相が防衛出動を命令すれば武力行使ができる。これは個別的自衛権だ。集団的自衛権の行使は「存立危機事態」で認められる。要件は日本と密接な関係にある他国に武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされる明白な危険がある場合だ。放置すれば日本の平和や安全に重要な影響を与える可能性がある「重要影響事態」で、後方支援や船舶検査にあたる。

■防衛大綱、防衛力あり方示す 年末に改定

 政府は今年末に防衛大綱を改定する。大綱は防衛力の整備や運用の基本方針を記した指針だ。今回の改定では、緊張が高まる北朝鮮情勢や中国の軍備増強など安全保障環境の変化を踏まえ、どのような防衛政策を示すかが論点だ。

 大綱見直しは4月にも取りまとめる自民党の安全保障調査会の提言を踏まえ、政府が議論を本格化。12月の決定を目指す。

 大きな議論になりそうなのが「敵基地攻撃能力」の保有だ。海上自衛隊の護衛艦「いずも」の事実上の空母への改修や、電子攻撃機の導入構想が浮かぶ。攻撃範囲だけみれば、敵基地攻撃に応用できるため専守防衛を逸脱しているとの指摘もある。宇宙監視やサイバー防衛などの対応も課題だ。

 大綱は冷戦下の1976年に三木内閣が初めて策定した。この時示したのが「基盤的防衛力構想」の概念。自らが周辺地域の力の空白にならないよう、自衛隊をまんべんなく配備することを重視した。大きく方向転換したのは民主党政権下の2010年大綱。手薄だった南西諸島の防衛強化を柱とする「動的防衛力」を打ち出した。

 安倍晋三首相のもとでまとめた13年大綱では「統合機動防衛力」を掲げた。水陸両用部隊の増強や陸海空3自衛隊の一体運用など北朝鮮や中国への対応を意識した。今回の改定で防衛省幹部は「冷戦下とは比較にならない現実的な脅威を踏まえて見直す」と話す。

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