英中銀総裁、ビットコイン「通貨として失敗」
【ロンドン=篠崎健太】英中央銀行イングランド銀行のカーニー総裁は19日、仮想通貨のビットコインについて「これまでのところ、伝統的な通貨の観点から見ればほとんど失敗した」と述べた。価値の保存やモノの購入手段として有用ではないと主張し、通貨としての機能や位置づけに懐疑的な見方を示した。

ロンドン中心部のリージェンツ大学で学生向けに行った講演での質疑応答時の発言として、ロイター通信が伝えた。
ビットコインへの見解を問われたカーニー総裁は「至るところに散らばっているので価値の保存手段ではない」と指摘。「誰も交換手段として使っていない」とも語り、通貨としては評価できないと強調した。一方、仮想通貨を支える基盤技術であるブロックチェーンに関しては、金融取引の分散型認証などに有効かもしれないとの見解を示したという。
仮想通貨をめぐっては主要中銀のトップから冷淡なコメントが相次いでいる。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は13日、学生がツイッターで寄せた質問に答える形で「ビットコインの価値は激しく揺れ動く。私は通貨とは呼ばない」と発言。日銀の黒田東彦総裁は同日の国会答弁で「『仮想資産』という言い方に変えるべきだともいわれている」と言及した。