2018年8月14日(火)

ドラギ氏後任、ドイツ前進 南欧から欧州中銀副総裁

2018/2/20 12:00
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 【ベルリン=石川潤】欧州中央銀行(ECB)の副総裁に19日、スペインのルイス・デギンドス経済相が内定した。南欧出身者が副総裁ポストを射止めたことで、焦点のドラギ総裁の後任は北部欧州から選ばれるとの見方が強まった。タカ派のワイトマン・ドイツ連銀総裁が最有力とされるが、政策の中身より各国の政治力学を優先する人事には危うさも潜む。

デギンドス氏

デギンドス氏

 デギンドス氏の就任は19日のユーロ圏財務相会合で固まった。3月の欧州連合(EU)首脳会議で正式決定し、現在のコンスタンシオ副総裁の後任として6月1日に就任する。副総裁ポストはアイルランド中銀総裁のレーン氏と争っていたが、形勢不利とみたアイルランドがレーン氏の立候補を取り消し、デギンドス氏に決まった。

 デギンドス氏は2011年から経済相としてスペイン経済の立て直しを進めた政治家で、金融政策の経験はほとんどない。さらに破綻したリーマン・ブラザーズでスペイン、ポルトガル部門の幹部を務めていた。欧州議会では「レーン氏の方がふさわしい」という意見もあったが、ドイツなどに押し切られた。

 EUで要職を得ていないスペインにECB副総裁のポストを与え、19年秋に任期が切れるドラギ総裁の後任には北部欧州の出身者を押し込む。身を引いたレーン氏はECBのチーフエコノミスト(専務理事)に就くとの見方が強く、政治的な駆け引きが露骨だ。

 ECB総裁は初代がオランダのドイセンベルク氏、次がフランスのトリシェ氏で、ドラギ氏はイタリア出身だ。欧州最大の経済大国でありながらまだ総裁を出したことがないことも、ドイツには有利に働くとされる。

 ワイトマン氏はECBを代表するタカ派で、経済が正常に戻った以上、異例の緩和はできるだけ早く終えるべきだと主張してきた。物価上昇が鈍いのだから緩和解除は急ぐべきではないというドラギ総裁と何度もぶつかり合ってきた。

 ワイトマン氏が総裁に就任すれば、ECBの金融政策が一気に引き締め方向に傾きかねない。景気が過熱気味のドイツは好都合だが、失業率が高い南欧などで景気が冷え込むリスクがある。

 ただ、ECB副総裁を手にしたスペイン、ユーロ圏財務相会合の議長ポストを最近得たポルトガルなどは、ドイツ出身の総裁を容認する可能性がある。ECBは総裁も副総裁も任期は8年。欧州経済の今後を大きく左右する人事だが、正面からの政策論争が盛り上がる気配はみえない。

 19年秋にはドラギ氏だけでなく、EUのユンケル欧州委員長も任期が切れる。ユンケル氏は退任の意向を固めており、こちらの後任も焦点だ。ECB総裁ポストをドイツ、ユンケル氏の後任をフランスが分け合うとの観測がまことしやかに流れるがどうなるか。

 欧州でポピュリズムが広がる理由のひとつが、ブリュッセルの政治が民意を反映していないことだといわれる。パワーゲームに明け暮れる政治家を有権者はどうみているのか。一連の人事に先駆けて、19年5月には欧州議会選挙が開かれる。

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