岐阜県は19日、大阪市に本社を置く日本合成化学工業が、大垣工場(岐阜県大垣市)の敷地内の土壌から2015年、最大で国の基準値の1万200倍の水銀を検出していたのに、県に報告していなかったなどとして、口頭で厳重注意した。
県は事業者に対し、土壌や地下水の調査で有害物質による汚染を確認した場合は速やかに報告するよう要綱で求めているが、同社は「要綱は認識していたが、周辺環境に影響が出ていないため、報告していなかった」としている。土壌は16年に撤去して処分していた。
県によると、昨年12月から2月にかけての同社調査でも、敷地内の別の場所から基準値の620倍となる水銀や、16倍のヒ素などが検出された。同工場では1928~64年に酢酸の原料としてアセトアルデヒドを製造しており、その過程で水銀を触媒として使用していたという。同社は今回の調査と併せ、2015年の結果も19日に報告した。
敷地内の地下水では検出されず、現時点で健康被害は確認されていないが、県は念のため、周辺で井戸水を飲むのは自粛するよう呼び掛けている。同社は今後、汚染土壌の撤去を進める。
大垣工場は同市内の別の地区にもあり、その敷地の土壌からも基準値の40倍の水銀が、地下水からは1.6倍のフッ素などが検出された。
〔共同〕