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投手陣再生へのミット音 小笠原、延々300球

キャンプリポート 中日

球数が250球を超えると、若い小笠原慎之介(20)も、さすがに肩で息をし始めた。「よいしょ」「駄目だ」……。疲労の極限に達しようというなか、自らを鼓舞し、叱咤(しった)しながらのブルペンでの投球は延々2時間。

ブルペンで2時間延々と投げ込んだ小笠原

最後と決めていたはずの316球目に納得がゆかず、317球目をびしっと決めて、野球人生で最高かもしれないという球数の投げ込みが終わった。キャンプ中盤、14日のことだった。

「どこまで投げられるか試したかった。(200球を超えてからも)いい球が何球かあった」と手応えを口にした。古くさい表現だが「馬のお尻のような」と形容したい、どっしりした下半身がこの投げ込みを可能にした。最後はへばったと言いながらも、下半身はふらつかず、最後まで生きのいい球が投げられた。

西武から巨人に移籍した野上亮磨が「1日に400球を投げた」など、投げ込みに関する報が目に付く。このレトロな練習方法が復活しつつあるのだろうか。

肩は消耗品というのが定説となり、おそらくメジャーでは忌避されるはずの投げ込み。この練習の根拠とされる考え方は疲労困憊(こんぱい)したときに、人間の体は本能的に最も無駄のない動きをするようになり、理想のフォームが立ち現れる、というものだ。

この考え方が正しいのかどうか。「心頭滅却すれば火もまた涼し」式の精神主義にすぎないといわれればそうかもしれないが、どこか懐かしく、郷愁に浸らせてくれる小笠原の熱投だった。

優勝を重ねていたころの中日の屋台骨は盤石の投手陣だった。リーグトップが当たり前だったチーム防御率が昨季はリーグ5位。大野雄大ら中堅の伸び悩みもあって、世代交代が進んでいない。中継ぎも先発もこなした又吉克樹が8勝で勝ち頭とは寂しい。

2011年にメッツで13勝を挙げるなど、メジャー通算51勝のディロン・ジー、キューバ出身の左腕、オネルキ・ガルシアを補強した。復活にかける松坂大輔も加入した。

しかし、長い目でみて、中心にならなければならないのは小笠原ら若い人たち。小笠原は2年目の昨季、5勝を挙げた。援護に恵まれず、負け越したものの飛躍を予感させた。

「しっかりキャンプを過ごせているのは3年目で今年が初めて。そこに期待している」と近藤真市投手コーチは話す。いよいよ体も成熟し、故障などの憂いなく、目いっぱいのメニューをこなせている。ブルペンに響かせ続けたミットの音が、投手王国再建のつち音となるか。(篠山正幸)

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