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再起期す 松坂大輔が担ってきたもの
編集委員 篠山正幸

(2/2ページ)
2018/2/20 6:30
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観客動員も伸び悩み、1月に亡くなった星野仙一元監督から「こんなにナゴヤドームにお客さんが入ったのは(近ごろ)みたことがない。甲子園もコボスタも満員です。ガラガラなのはここだけ」と叱咤(しった)激励されたこともあった。昨年のオールスター第1戦、ナゴヤドームで行われた野球殿堂入りの表彰式の場でのことだった。

松坂を取り囲むファンの人垣は、いかに中日ファンがスターに飢えていたかを示すようでもある。

サイン会で握手する松坂(手前右)。ファンの声援がいかに力になるか知っている=共同

サイン会で握手する松坂(手前右)。ファンの声援がいかに力になるか知っている=共同

その輝きにすっかり魅せられた様子だったのが、15日にキャンプを視察した白井文吾オーナー。松坂に対し「ファンを大事にしなくちゃいけないという使命感を彼は持っている。それによって、ファンに支持されることが自身のプレーと密接な関係があることを自覚している」と話した。

ファンとのつながりの大切さ知る

ファンの声援がいかに力になるか。ファンとのつながりが、自身の活躍につながって相乗効果を生むという「プロの原理」を知っているというわけだ。

いかに疲れていても「嫌な顔ひとつせず」にサインをしている松坂に、ドラゴンズかくあるべし、と得心したようだった。

使命感という言葉で思い出したことがある。2009年の第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)だ。

すでに西武からレッドソックスに移籍していた松坂に出陣前に聞いたことがあった。

この時期に代表として活動することにはリスクもあるが、それでも出場するわけは?

「日本代表の試合には常に出ていたい」というのが松坂の答えだった。常に代表選手として選ばれる選手でありたい、選ばれたからには出るのが当然、という口ぶりだった。

06年の第1回大会以来、3月という通常なら調整の期間に行われるWBCにピークを合わせることへの懐疑的な意見が、メジャーではびこっていた。それでもためらいなく出る、という松坂の気概に心を打たれたものだった。

09年のWBCで、2大会連続で最優秀選手に輝いた松坂だったが、レギュラーシーズンは4勝6敗と、前年の18勝3敗から大きく成績を下げた。以降、松坂は2桁勝利をあげられないままだった。メジャーでWBCへ慎重な姿勢をとる「消極派」が持ち出す事例の一つとなっている。

WBCの年に成績が落ちたということはあくまで結果でしかないが、まぎれもなく代表の試合に全身全霊をかけた日本野球の功労者。

ソフトバンクでの3年は厳しいものとなったが、プロ野球界全体として、その功に報い、心ゆくまで挑戦の機会を与えられていい選手と思われる。もちろん、そんな情緒的なものに甘えるつもりは本人には毛頭ないだろうが……。再起に期待したい。

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