2019年4月21日(日)

ブラジルに五輪後遺症 リオ、財政難で治安悪化
経済にも悪影響

2018/2/19 9:46
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【サンパウロ=外山尚之】2016年夏季五輪の開催地、ブラジル・リオデジャネイロの治安悪化が深刻になっている。五輪のためのインフラ投資と景気悪化が重なり、州財政が悪化。警察官らの配備がままならず、凶悪犯罪の増加に歯止めがかからない。その影響で消費も低迷。04年の五輪開催が経済危機の一因になったことで知られるギリシャと同様、ブラジルも「後遺症」に苦しむ。

南米最大の真夏の祭典、リオのカーニバル(謝肉祭)。街中のあちこちでサンバのリズムが鳴り響き、史上最高となる150万人の観光客が訪れて熱気に包まれた。

浮かれた雰囲気と対照的に治安状況は深刻だ。地元メディアは13日、警察官が銃殺されたと報じた。14日にも12歳の少年が死体で見つかった。

リオデジャネイロ州政府によると、17年の殺人件数は前年を7.4%上回る6731件。人口10万人あたりでは全国平均を大きく上回り、サンパウロ州の3倍以上だ。

治安悪化の最大の要因が州財政の悪化だ。五輪に向けた多額のインフラ投資により、基礎的財政収支は12年から赤字に転落。長期負債は16年時点で1080億レアル(約3.5兆円)に達した。16年までの不況で企業からの税収も急減した。

予算不足により警察官への給料遅配が常態化した。警察官はストライキで対抗したほか、パトカーなど警察備品の故障や欠品も続出した。

間隙を突いて麻薬組織が貧民街を中心に勢力を拡大し、組織間や警察との争いで多数の死者が出た。市民が犠牲になるケースも相次ぐ。リオでの銃撃戦情報を収集する民間組織フォゴ・クルザドによると、18年に入ってから1日平均22発の発砲情報が寄せられている。

貧民街以外でもシャッターや壁の落書きが目立つ。カーニバル期間中も外国人観光客の窃盗被害が相次いだという。

テメル大統領は16日、リオ州の治安を当面、州ではなく連邦政府が担うと発表した。議会の承認を経て警察を軍の指揮下に置き、麻薬組織を掃討する。現行憲法下で初の事態。テメル氏は「麻薬組織を倒すため必要な強い手段をすべてとる」と話し、理解を求めた。

経済への悪影響も無視できない。リオ市内の小売業750社を対象にした調査によると、17年の売上高は治安悪化による消費冷え込みを受け前年実績を5.8%下回る結果となった。

今年のカーニバルではリオ市のクリベラ市長がパレードへの補助金を半減したことを批判された。クリベラ氏は「カーニバルはただのパーティーだ。リオには銃撃戦の流れ弾で死ぬ子供がいる」と反論した。

04年に夏季五輪を開催したギリシャでも、莫大な費用をかけて競技場を整備した結果、財政赤字が拡大。後のギリシャ危機を招く要因となった。

24年の開催地の決定過程では、ローマ、ハンブルク(ドイツ)、ブダペストが相次いで辞退。巨額の支出に住民が反発したことなどが理由だ。

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