スポーツ > ニュース > 記事

女王小平、圧巻V 「低く鋭く速く」重圧乗り越え
女子500 五輪新36秒94

2018/2/19 0:40
保存
共有
印刷
その他

国内外24連勝、「金メダル大本命」の看板に偽りなしだった。日ごろから「ライバルは自分自身」「日々、自分超え」と自らに言い聞かせてきた小平が、大一番で最高の滑りを見せた。

第14組のインスタート。スタートから飛び出し100メートルを10秒26の好タイムで通過すると、爆発的な伸びを見せる。低く、鋭く、速く。豪快な滑りはバックストレートで一気に加速した。

疾走する小平=山本博文撮影

疾走する小平=山本博文撮影

最終コーナーの位置取りも無駄がない。武器の左足をぐっと倒して遠心力に耐えた。最後の直線も最終盤でさらにひと伸びして駆け抜けた。低地リンクで初めて37秒台の壁を破る36秒94の五輪新記録。タイムを確認すると、両腕を突き上げてガッツポーズだ。「周りが何も見えないくらい、うれしかった」。重圧という内なる敵を破り、最強を証明した。

小平よりもスケートを愛している人はいないのではないか、と思えるほど、探究心旺盛に競技と向き合ってきた。小学5年の時に地元で開催された1998年長野五輪の女子500メートルのビデオはテープが擦り切れるほど見た。「『岡崎朋美、38秒55』のナレーションがいつも頭の中に流れている感じだった」

どうしたら速く滑れるのか――。子供の頃からそのことばかり考えてきた。日常生活からもスケートにつながる何かを探し出し、信州大の卒業論文では強豪選手がカーブを回る際の重心の位置や関節の角度を研究。飛躍のきっかけとなったオランダの武者修行も学生時代から海外のスケートに興味があったからだ。

日の丸を掲げリンクを回る

日の丸を掲げリンクを回る

「小平は根がスケート」と語ったことがある結城匡啓コーチは、「あるとき『私はもうやり切りましたと言って終わることはないと思う』と話していた。勝ったレースでも『次はこれをやりたい』と言ってくる」と好奇心に驚く。当の本人は31歳になった今も「完璧なスケートって一生出合えないと思う。すごく毎日が新鮮」。スケートのことを考えているときが一番楽しいという。類いまれな探究心、速くなりたいという純真な思いが原動力となっている。

長野五輪から20年。テレビで見た金メダルの清水宏保、銅の岡崎朋美のレースに興奮し、会場が一つになって沸き立つ光景を目に焼き付けた。「あの感動が、一年一年私を成長させてくれた。あのとき感じた思い、清水選手、岡崎選手が見ていた景色を今度は私が見てみたい」。みんなで喜びを分かち合う歓喜の瞬間を夢に見続け、今度は自ら感動を日本に届けた。スケートのことを考え抜き、努力を積み重ねてきた小平に、スケートの神様は金メダルをプレゼントした。

(金子英介)

日経電子版が最長2月末まで無料!
初割は1/24締切!無料期間中の解約OK!

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

電子版トップスポーツトップ

スポーツニュース 一覧

 神奈川県海老名市の内野優市長は25日、2020年の東京五輪・パラリンピック時に市内の小中学生が会場で観戦できるよう、交通費やチケット代の全額補助を検討していることを明らかにした。定例記者会見で「子ど …続き (25日 22:35)

 神奈川県海老名市の内野優市長は25日、2020年の東京五輪・パラリンピック時に市内の小中学生が会場で観戦できるよう、交通費やチケット代の全額補助を検討していることを明らかにした。定例記者会見で「子ど …続き (25日 22:35)

記者会見で平昌冬季パラリンピックの5個のメダルを見せる村岡桃佳選手(28日午後、東京都千代田区の日本記者クラブ)=共同

 平昌冬季パラリンピックのアルペンスキー女子座位で金を含む5個のメダルを獲得した村岡桃佳選手(早稲田大)が28日、東京都内の日本記者クラブで記者会見し「5種目全てでメダルを取れるとは思っていなかった。 …続き (28日 19:46)

ハイライト・スポーツ

[PR]