2019年5月20日(月)

宇宙・サイバー空間で司令塔 防衛省「陸海空に次ぐ戦場」

2018/2/17 23:21
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防衛省がサイバー防衛や宇宙監視の分野の能力向上を急いでいる。防衛省内に司令部機能を持つ専門組織の新設を検討するほか、サイバー防衛に従事する人員も2018年度に約4割増やし150人体制とする。宇宙やサイバーは陸海空に次ぐ「第4、第5の戦場」とも言われ、各国の攻防が激しさを増す。18年中に見直す防衛大綱の議論でも焦点になる。

与那国島に配備予定の沿岸監視レーダー=防衛省提供

司令部機能を持つ組織は、陸海空の3自衛隊から要員を集め、早ければ20年にも発足させる。各部隊を統括する海自の自衛艦隊、空自の航空総隊などと同格の扱いとすることを想定。サイバー攻撃への対処にあたる専門人員「サイバー防衛隊」や宇宙監視の部隊などを束ねる。

人員の増強も進める。18年度にサイバー防衛隊を現状の約110人から150人に増やし、19年度以降もさらに拡充する方針だ。

宇宙分野では、22年度に宇宙状況を監視する専用部隊を新設。デブリなどを監視できる専用レーダーを海上自衛隊の山陽受信所跡地(山口県山陽小野田市)に配備する。

こうした体制を整えるのは、各国の宇宙やサイバー分野での攻防が激しくなっているためだ。

最近では17年6月に、ウクライナを中心に身代金要求型ウイルス(ランサムウエア)による激しいサイバー攻撃を受け、クレジットカードの決済システムや地下鉄の支払いシステム、空港の電光掲示板などが機能停止した。米ホワイトハウスは15日に一連の攻撃はロシア軍によるものと断定する声明を発表した。

宇宙空間では、中国による衛星破壊実験や、人工衛星の衝突などによりデブリが増加している。衛星が衝突すれば、損傷して機能を失う危険があるため対策の必要性が高まっている。

各国はこうした現状を踏まえ対策を強化している。米国は18年9月までにサイバー攻撃に対応する部隊を15年比で3倍の6200人規模に拡大する方針だ。多国間の連携も進む。北大西洋条約機構(NATO)は今後、サイバー攻撃への防衛力向上に向けた司令センターを新設する。

日本は海外と比べて対応が遅れているとの指摘は多く、サイバーや宇宙分野の先進国との連携も進め対応を急ぐ。

安倍晋三首相は1月中旬にバルト3国を訪問。エストニアのラタス首相と会談し、サイバー防衛などの情報を共有する「日バルト協力対話」を立ち上げることを提案した。宇宙分野では、1月下旬の日仏の外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)で協力を進めると確認した。

課題は人材育成だ。IT(情報技術)や宇宙分野に精通した専門人材は自衛隊内部には少ない。防衛省幹部は「システムや装備は予算を投じれば導入できるが、人材の育成には時間がかかる」と指摘する。外部から人材を招くことも検討するが、専門知識を持つ人材は民間企業でも厚待遇のため「公務員の給与体系では確保に限界がある」(防衛省関係者)のが実情だ。

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