スポーツ、スマホ視聴に DAZNがプロ野球やバスケ配信
英パフォームグループのスポーツ動画配信サービス「DAZN(ダ・ゾーン)」は16日、2018年シーズンから日本のプロ野球11球団の全試合の動画を配信すると発表した。スマートフォン(スマホ)などで観戦できるDAZNがプロ野球も配信することで「スポーツ視聴=スマホ」という流れが強まる。ただ、コンテンツは高騰しており、放送・配信事業者の負担は重くなりそうだ。

DAZNが新たに配信を始めるのはパ・リーグの全6球団の試合と、セ・リーグの巨人以外5球団の主催試合の配信を始める。これまでは広島とDeNAのホーム試合だけを配信していた。東京都内で会見したジェームズ・ラシュトン最高経営責任者(CEO)は11球団の試合の配信が決まったことで「DAZNはプロ野球の本拠地になる」と述べた。
プロ野球のほかにも、男子プロバスケットボール「Bリーグ」の配信も始める。これまでは一部試合だけだったスペインのサッカーリーグの全試合配信も始める。すでに18年から欧州サッカー連盟(UEFA)が主催する「UEFAチャンピオンズリーグ(CL)」の独占配信も決めており、スポーツコンテンツへの投資を強化する。
プロ野球やBリーグなど今回、DAZNが新たに獲得したコンテンツはソフトバンクが5月にサービスを終了するスポーツ配信サイト「スポナビライブ」から引き継いだものが中心だ。

DAZNは月額1750円(税別)と多くの有料放送より安く、スマホ以外のテレビやパソコンといった機器でも視聴できる利便性がある。会員数は昨年8月に100万人を突破、その後も増加を続けているという。
ただコンテンツ獲得のための負担は重そうだ。17年のシーズンから10年間の契約で獲得したJリーグの独占放映権は2100億円。DAZNは22年までに日本単体で黒字化する計画だが、放映権の獲得への投資が先行し、足元は赤字が続く。
一方で、スカパーJSATなど衛星放送やケーブルテレビの事業者は追い詰められている。Jリーグや欧州CLはもともとスカパーのキラーコンテンツだった。加えて、プロ野球などの主要コンテンツまでDAZNに奪われると、売り物のコンテンツは乏しくなる。スカパーJSATは加入者数の減少が続いており、状況は苦しい。
また、DAZNやサイバーエージェントとテレビ朝日のインターネットテレビ「アベマTV」などによる新規参入が相次ぎ、スポーツの試合の配信権は高騰している。WOWOWの田中晃社長も数字には言及しなかったが「コンテンツの価格は上がっている」という。放送事業者には顧客流出という収入面と配信権高騰というコスト面で難題が突きつけられている。