2018年10月22日(月)

中国 一人っ子政策やめても効果見えず

The Economist
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2018/2/23 6:50
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The Economist

リー・ドンシャ氏は、赤ん坊の頃から祖父母や親戚に預けられて育てられた。中国北部の山東省の生家から30分ほど離れたところだった。彼女の両親には、そうせざるを得ない理由があった。すでに娘が1人いて、複数の子どもを持つことを禁じる中国の法律を破ったことで、罰金を徴収されたり解雇されたりする恐れがあったからだった。

政府当局から隠れ、事情を知らされずに育ったドンシャ氏は、ちょうど小学校に入った頃、よく訪ねてくる優しい叔母と叔父が実は本当の両親であることを知った、と言う。ようやく本当の両親の家に戻れた頃には、すでに10代に入っていた。

ドンシャ氏は現在26歳で、家庭教師を派遣する企業を経営している。特殊な幼少期を過ごすことを彼女に強いたあの時代は、今やはるか昔に感じられる。中国政府は一人っ子政策を2015年末に撤廃し、全ての夫婦は2人目の子どもを持つことが(2016年から)認められたからだ。

むしろ最近、中国の政治家たちを悩ませているのは、子どもが多すぎることではなく、1980~90年代生まれの中国人があまり子作りをしていないことだ。国営メディアは1月、2017年に国内で最も多くの子供が生まれた山東省をこぞって褒めたたえた。その生殖能力は「勇気に満ちている」と評した。

こうした中国政府の方針転換の根底には、中国の人口動態が大幅に変化していることへの不安がある。出生率は2010年のどん底からやや持ち直しているものの、女性1人が生涯に産む子供の人数は平均で2人未満だ。つまり、人口は早晩、減少に転じることを示している。

■薄れる大家族願望

政府は、2030年に人口が14億人強のピークを迎えると予測しているが、もっと早く減少に転じるとみる人口統計学者は多い。

16~59歳までの労働人口は既に2012年から減少に転じており、2050年までに23%縮小すると予測されている。高齢化が進めば、社会保障財政への負担は重くなり、労働市場の規模の縮小を招く。

北京大学の梁建章氏は、労働人口が高齢化することで、米国のように人口動態の見通しが明るい国に比べ、中国では企業のイノベーションが停滞してしまう可能性があると指摘する。

一人っ子政策の撤廃により、事態は改善するはずだった。だが1月に発表された統計によると、出生率は一人っ子政策撤廃直後、一時は上向いたが、その効果は消滅しつつあるという。中国では昨年、1720万人が誕生した。これは一人っ子政策撤廃前に比べれば多いものの、2016年と比べると3.5%減だ。

米カリフォルニア大学アーバイン校のワン・フェン氏によると、出生数は国家衛生計画生育委員会が一人っ子政策を見直すかどうかを検討していた時の予測より300万~500万人も少なく、撤廃による効果に懐疑的な専門家の予測さえも下回るという。

原因は、一人っ子が理想だと何年も言われ続けてきたことに加え、中国が豊かになるにつれ、大きな家族を望む傾向が薄れつつあるからだ。子どもがほしい夫婦への世論調査では、子育てに必要となる巨額の費用に尻込みしているという回答が多い。

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