ロシュ、健康分析ソフトの米社を2000億円で買収
【フランクフルト=深尾幸生】医薬大手のロシュ(スイス)は15日、がん患者向けの健康情報分析ソフトを手がけるスタートアップ企業、米フラットアイアン・ヘルスを19億ドル(約2千億円)で買収すると発表した。2018年前半に完了する。健康データの蓄積と分析に強みを持つフラットアイアンの技術を活用し、がん治療薬の開発を加速する。
フラットアイアンは12年に創業し従業員は450人。ニューヨーク市に本社を置く。「電子健康記録」と呼ばれる患者の健康状態のデータを長期間蓄積し、分析するソフトウエアに強い。買収後も独立した企業として事業を続ける。
ロシュはフラットアイアンの株式の12.6%をすでに持っており、ほかの株主からすべての株式を買い取る。ロシュの医薬事業トップのダニエル・オデイ氏は声明で「新しいがん治療の開発には信頼に足る実社会のエビデンスが必要だ。今回の買収は重要なステップとなる」と述べた。
医薬業界では医薬品や医薬関連サービスの市場が拡大していることもあり、医薬大手による有望な企業のM&A(合併・買収)が活発になっている。今年1月に仏サノフィが血友病治療薬の米バイオベラティブを116億ドルで買収するなど、大型買収が相次いでいる。