2018年4月26日(木)

NAND一本足の東芝メモリに暗雲
サムスン、DRAMシフト

エレクトロニクス
2018/2/19 6:30
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 活況の半導体メモリーに変調の兆しが出てきた。NAND型フラッシュメモリーの市況は調整局面に入り、NAND専業の東芝メモリにとって収益の先細り懸念が浮上。一方でDRAM価格は上昇が続き、これら両方のメモリーで世界首位の韓国サムスン電子は投資の軸足をDRAMに移す。売却手続きまっただ中の東芝メモリに暗雲が漂い始めている。

NAND型フラッシュメモリーのデータ需要は18年も40%前後成長する(東芝メモリの四日市工場)

NANDのスポット価格が低下している

 NAND価格は標準品(TLCの64ギガビット品)の大口価格で3.5ドル前後で推移している。ただ需給に敏感な「スポット(随時取引)価格」は3カ月前に比べて1割低下した。スマートフォン(スマホ)市場の世界的な冷え込みなどでメモリーの在庫調整が始まっている。

 今の業績は好調だ。14日発表の東芝メモリの2017年10~12月期の売上高は前年同期比36%増の3138億円で営業利益は同2.3倍の1177億円。営業利益率は37.5%と「過去最高水準」(東芝)だった。

 東芝メモリの生産拠点、四日市工場(三重県四日市市)では、今夏の稼働を目指した第6製造棟の建設・整備が急ピッチで進む。データ容量を飛躍的に高められる3次元(3D)メモリーの最先端品、96層の量産装置の搬入を急ぐ。

 「昨年末からラムの装置を確保しやすくなった。第6棟の立ち上げも順調だ」。現場技術者の声は明るい。確保できたのは米半導体装置大手ラム・リサーチの「ドライエッチング」という工程を担う装置で、3Dメモリーの歩留まり(良品率)向上の要とされる。メモリー各社が一斉に発注を増やし、一時は納期が危ぶまれていた。

 ただ、この話には裏がある。同装置を大量発注していたサムスンがキャンセルを申し出たのだ。サムスンはメモリー主要拠点の平沢(ピョンテク)工場でNANDの増産を計画していた。

 しかし昨秋以降、データセンター事業者らから供給能力を上回る最先端DRAMの発注を受け、投資先をNANDからDRAMに切り替えた。

 JPモルガン証券の試算では、サムスンの18年の設備投資計画はDRAMが前年比24%増の114億ドル(約1兆2000億円億円)なのに対し、NANDは同32%減の71億ドル(約7500億円)を計画しているという。

 DRAM市場はサムスンと韓国SKハイニックス、米マイクロン・テクノロジーの3社寡占市場となっている。SKハイニックスやマイクロンもNANDの変調を見越してDRAM投資を積み増す方針で、市況の変化に柔軟に対応する。

 一方のNAND市場はこれら3社に加えて東芝メモリと米ウエスタンデジタル、米インテルの計6社がひしめく混戦市場だ。DRAMに比べると、市況は軟調になりやすい。実際に6社すべてが増産投資に動き、供給量が増加。さらにスマホ市場の減速もあって、価格が崩れ始めている。

 東芝メモリが17年10~12月期に達成した売上高営業利益率37.5%という数字は過去最高水準だが、DRAM勢はさらに上をいく。サムスンやSKハイニックス、米マイクロン・テクノロジーはいずれも45%を超える高収益を確保した。中でもサムスンの半導体事業は51.6%という驚異的な数字をたたき出した。

 NAND単一事業の東芝メモリは、競合他社がNANDの設備増強を抑える間に生産設備を確保し先手を打ちたいところ。しかし思わぬところからストップがかかった。東芝メモリの売却完了後に株主になる1社が追加の設備投資に難色を示したのだ。

 大株主となる米ベインキャピタルは昨秋「積極的な投資を企業連合で支援し、厳しい競争を勝ち残っていく」と話していた。東芝メモリは現時点では東芝の100%子会社であり「我々の投資に口出しされる筋合いはない」と技術陣は反発。独立経営を目指した東芝メモリが複雑な株主構成になることで、手足を縛られる恐れもある。

 半導体業界ではNAND価格の変調は「一時的な調整」との見方が大勢。ただ歴史的に乱高下を繰り返してきたメモリー市況は「山高ければ谷深し」の言葉どおりの波形を描いてきた。東芝メモリが収益を安定的に稼ぐには、製品開発と歩留まり(良品率)改善のための投資が不可欠となる。(細川幸太郎)

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