公務員65歳定年、夏めど具体案 人事院
人事院は現在60歳の公務員の定年の延長に向け、今夏をめどに具体案をまとめる。政府が16日、定年を段階的に65歳へ引き上げるなどの方針案と、人事院に対する制度設計の検討の要請を決めたため。人件費の膨張の抑制や、人事の滞留を防ぐ仕組みが課題になる。60歳以上の一定の年齢に達したら管理職から外す「役職定年制」の導入などの詳細を詰める。
政府は人事院の検討結果を踏まえ、2019年の通常国会への関連法案の提出をめざす。
政府の方針案には60歳以上の職員の給与水準の引き下げや、役職定年制の導入が盛りこまれた。霞が関の各省庁トップの事務次官の定年は現在62歳だが、これを何歳にするかも焦点だ。若手や中堅職員が昇進する機会を確保して、組織の活力を維持する必要がある。
新規採用数への影響を少なくするため、段階的に定年を延ばす。人事院は11年に、定年を3年ごとに1歳ずつ引き上げる案を出した。改めて引き上げのペースを練る。
人事院の検討は国家公務員の定年についてだが、地方公務員も各自治体が国の制度を基準に条例で決めている。野田聖子総務相は16日の記者会見で「国家公務員の制度設計を踏まえ、自治体の意見はしっかりと聞いて検討を進める」と述べた。
定年延長には、少子高齢化が進む中で労働力を確保する狙いがある。政府が率先して取り組み、民間企業に同様の動きを促す。ただ、安定した公務員の定年延長に理解を得るには、人件費の抑制策などの丁寧な説明が欠かせない。退職手当の割り増しで早期退職を促す制度を盛って、官民の人材の流動化も進める。