米国で発売、アップルAIスピーカー超辛口レビュー
VentureBeat

コラム(テクノロジー)
AI
(2/3ページ)
2018/2/18 6:30
保存
共有
印刷
その他

人によっては気に入るかもしれないが、少しひねったとみられるデザイン判断をしたとみられる箇所もある。ホームポッドはコンセントに差しても、点灯するといった電源が入ったことを示す印が全くない点がそれだ。他の機器では接続されていることを常にまたは任意で知らせるために、小さな音が鳴ったり、点灯したりする。上部でSiriの緑のライトがさっと光るくらいのことがあっても問題ないと思うのだが。

■長所:大音量でも音が割れない

アップルの故スティーブ・ジョブズ前最高経営責任者(CEO)がかつてデザインについて「見た目や印象だけではなく、機能そのものだ」と語っていたように、ホームポッドはそもそもスピーカーであり、見た目よりも機能が大事だ。筆者は年を追うごとに、300ドル以上のスピーカーに優れた音質を期待するようになった。349ドルのiPodハイファイはこの基準を満たさなかったが、これは例外中の例外だ。

ホームポッドの音質に関する2大長所は、サイズから想像できないほどの大音量を出せる点と、全ての音量レベルでスピーカードライバーの性能がきちんとコントロールされている点だ。アップルのフィル・シラー氏はホームポッドを発表した際に「家を揺らすほどだ」と述べたが、この表現はかなり的を射ている。

ホームポッドには上向きのウーファー(低音ドライバー)と7つのツイーターが搭載され、高音を輪のように響かせる。部屋の真ん中にコンセントがあり、そこにホームポッドを置いたとしても、どこからでも音楽を楽しめるというコンセプトだ。または、部屋の隅や壁を背にして置いても、マイクと「A8」プロセッサーを使って音を調節するため、どこに置いてもよく聞こえる。

筆者のテストでは、ホームポッドをどこに置いても音はほとんど同じだった。音がよいかどうかはそれぞれの基準次第だが、めったにないほどのきめ細かさや、小型スピーカーにしてはかなり本格的な低音を出せる点、高音域の精度やスピーカーのノイズのなさにおおむね好印象を持った。ホームポッドは完全な静寂が可能で、通常の音量での高周波音や低周波音のキレも良く、音量を最大にしても音質はしっかり保たれている。これは最大音量でのiPodハイファイに匹敵するほどで、サイズの違いを考えれば驚異的だ。

■短所:低音が強すぎて中音が弱まる

ホームポッドが99ドル、さらには199ドルのスピーカーであれば、高音と低音は安定しているが、中音は弱いというひずみも受け入れやすかっただろう。だが、筆者は長年にわたり299ドルの優れた一体型スピーカーを数多く試してきたため、この価格には妥協が一切ないことを期待するのに慣れている。本来ならば、高音はツイーター、中音(音声や大半の楽器の基本音を含む250~2000ヘルツ)は中音ドライバー、低音はウーファーが担う。だがホームポッドでは、ツイーターとウーファーが高音から中音、低音まで全てを扱う。このため、テイラー・スウィフトの「シェイク・イット・オフ」など最近のポップスを再生すると、歌声は小さく低音ばかりが響き、残りの楽器はきめ細かさに欠ける羽目に陥る。

オーディオマニアはかつて、曲の高音と低音しか理解しない人に抗議し、ホームポッドのようなウーファーとツイーターだけのスピーカーを「ドンシャリ」とやゆした。だが米ビーツのヘッドホンは、きょう体が十分スタイリッシュで、販売攻勢を仕掛ければ、こうした音質で高価格を設定しても通用することを示した。

中音ドライバーがないのを差し引いても、ホームポッドの低音ドライバーは音量を常に10か11まで上げているように聞こえる。ホームポッドを書斎に置き、なじみの曲を何度もかけてみたところ、重低音が曲を支配して中音をかき消し、最高音域ばかりが耳についた。アップルがホームポッドの小さなきょう体にこれほどパワフルでコントロールされた低音ドライバーを搭載したのは称賛に値するが、スピーカーに関しては特筆すべき成果はこの点しかない。特に音量が小さいときに、低音をもう少し絞る方法があればありがたい。

■短所:ステレオサウンドではないのは残念

ホームポッドとiPodハイファイを並べれば、一目で小さなホームポッドにステレオサウンドがない理由が想像できるだろう。機能よりもフォルムを優先するのはアップルの常とう手段だ。どちらも349ドルで発売されたが、この画像を見ればWi-Fi接続と「A8」プロセッサーはさておき、ステレオスピーカーがホームポッドと同じ値段で買えたのは驚きだ。

ステレオサウンドは果たして重要なのか。答えは「イエス」だ。この60年余り、プロが録音したほとんど全ての楽曲の音源はステレオで作成された。アップルは「iTune向けに音源を作成した」楽曲を販売しているほどだ。これは本物のステレオでの音源作成にとどまらず、現代の音源で可能な質の高い音に特に注意を払っている。アップルは「アーティストや音響技師が意図した通りに聞こえる楽曲を提供する」と明言しており、iTunesではこれを果たしている。だが、ホームポッドでは果たせていない。

iTunes(またはCD)で購入した全ての曲は、優れたステレオスピーカーやヘッドホンで聴くと「アーティストが意図した通り」に聞こえるように設計されている。アーティストが従来のステレオのさらに先を行き、「Qサウンド」などの独自の立体的な音響技術で音源を作成する場合もまれにある(マドンナの1990年の大ヒットアルバム「ウルトラ・マドンナ~グレイテスト・ヒッツ」で使われたのが印象深い)。いずれの場合にも、アーティストと音響技師は真ん中の1つの管ではなく、左右に分かれたスピーカーから聴いてもらうよう意図した。

  • 前へ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]