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複合・渡部暁 かすめた王座 最後の上りで明暗
個人ノーマルヒル

2018/2/14 23:15
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長く続いた4人の隊列が最終4周目、ようやくばらけた。抜け出したのはソチ五輪金でワールドカップ(W杯)個人総合5連覇中のフレンツェルと渡部暁斗。2人のマッチレースは4年前の再現だ。「金メダルを取るつもりでいた」。だが、それも最後の上りの手前まで。五輪に向けて調子を上げてきた王者のスパートについていけず、万事休した。

フレンツェル(手前)を懸命に追う渡部暁

フレンツェル(手前)を懸命に追う渡部暁

W杯で個人総合首位を走る活力源になっている前半飛躍。平昌の風のいたずらで、総合2位のヤン・シュミット(ノルウェー)ら前の2人がストン、ストンと落ちていく。「流れ悪いな」と思っていたら、自分の時に穏やかになって「ラッキーだった」。105.5メートルを飛んで首位と28秒差の3位。距離も走れるオールラウンダーに成長した渡部暁にすれば、十分に金も射程圏だった。

風がやまない後半距離。自身から8秒遅れの5位で出たフレンツェルと前後を入れ替わり、風よけ役を交代しながら積極的に前を追う。暗黙の了解で結ばれたこの“紳士協定"は、互いの力を知るからこそ。4位で距離も強いクラプファーと三つどもえの団子状態で4キロ付近で1、2位を吸収した。

最後の上りでフレンツェルに突き放され、「地力の差が出た」と手放しでは喜べぬ銀でも、「フェアに戦えた。面白いレースだった」と、五輪に固執せぬこの人らしく振り返る。「協定」に加わらず、2人の後ろで構えて“漁夫の利"を狙ったクラプファーを最終周で置いてけぼりにしたのも痛快だった。

ゴール後にすがすがしく抱き合ったフレンツェルとはどうやら浅からぬ縁がある。2人でレース全体の流れを支配した戦いはまさに王道。敗れたとはいえ、「引いて守りに入るのではなく、ああやって勝ち切るのが理想」と同い年のライバルへの敬意を隠さなかった。

次は4年前に「1つメダルを取って気持ちが切れて」6位に終わったラージヒル。当時は精根尽き果てても、W杯で今季5勝を挙げた今は、「割と冷静。取るべくして取るものは取った」。渇望は続いている。「次に自信をつけるのは金メダル。取らないと次に進めないんで」。狙うものはただ一つだ。

(西堀卓司)

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