厚労省 がんゲノム医療の中核拠点病院11カ所選定
厚生労働省の検討会は14日、がん患者のゲノム(全遺伝情報)を調べて最適な治療薬を選ぶ「がんゲノム医療」を中心となって提供する中核拠点病院を11カ所決めた。中核病院と連携する病院も3月中に決め、医療体制を整備する。4月から全国で進行がんの患者などがゲノム医療を受けられるようにし、一般的な医療として普及を目指す。

中核拠点に選ばれたのは国立がん研究センターの中央病院(東京・中央)と東病院(千葉県柏市)のほか、北海道大、東北大、慶応義塾大、東京大、名古屋大、京都大、大阪大、岡山大、九州大の各大学病院。
ゲノム医療は患者から採取したがん細胞の遺伝子を詳しく調べる。異常に合わせ、最も効きそうな薬を選んで投与する。効果が高く副作用が少ないとされ、次世代がん治療の本命と考えられている。
中核病院には遺伝性のがん患者に専門的な説明ができる医師や遺伝カウンセラーなどを配置。遺伝子検査や人材育成などを担当する。遺伝子の異常をもとにした新薬の開発にも弾みをつける。今後は、患者のがん組織を中核病院に送って遺伝子の検査を依頼し、結果をもとに治療する連携病院も決める。
がんゲノム医療は欧米などが先行し、広く普及している。日本は数年前から一部の医療機関が臨床研究や自由診療として実施してきたが、国の体制整備は遅れていた。