透視線(野上大介)

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スノボ平野、逆転許す 主観ジャッジの難しさ

2018/2/14 19:55
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負け惜しみではなく、ホワイトが優勝をたぐり寄せた決勝3本目のラン(演技)よりも、平野歩夢が2本目に決めたルーティンの方がスキルは高いと思っている。95.25点の採点は低すぎる。

ホワイトの3本目をスロー映像で見返すと、4回転技の2発目でボードをつかむ「グラブ」が完璧でなく、手がボードにまで届かずブーツしかつかめていない。体をコンパクトにたたんで回れていないからで、これはスノボ界では"イケていない"ミス。平野は4回転連続技でもグラブが長く、完成度は高かった。

金メダルのショーン・ホワイト(右)と健闘をたたえ合う平野=山本博文撮影

金メダルのショーン・ホワイト(右)と健闘をたたえ合う平野=山本博文撮影

カチカチの雪面と強風のなかでも高難度の技に挑み、平野は100%を出したといえる。惜しむらくは採点で運がなかった。ルーティンを決めた2本目の時点ではまだ14人も演技を控えている。その時点で、1月末に99点と評価された構成にも「99点」は付けにくい。採点を伸ばす余地が考慮され、満点から4.75点引かれた形とされたのだろう。同じルーティンを3本目に出したなら、得点はもっと伸びたはず。

というのも五輪では6人の審判員が採点、最高と最低を切り捨てた4人の平均で得点が決まる。しかし基準は「オーバーオールインプレッション」、いわゆる主観だ。序盤で得点が出過ぎ、その後の本来なら高得点の技が100点に収まりきらず"目減り"する、という現象もこの採点法による大会では起きている。

例えばプロ大会のUSオープンでは、技の難易度・高さなど4つほど項目を設け、項目ごとの点数を加算した上で印象点も加味して全体の得点とする。この方がより客観的だし、分かりやすい。

世界最高難度とされる4回転技の出来が勝敗を分ける時代になった。ただ採点法も含めて再考しないと、このままでは難易度だけの競争になっていく。ホワイトも本来は高さや美しさがスタイルなのだが、平野に勝つためにそれを捨て、高回転技を優先するしかなかった。転倒のリスクも過度になり、この競技が備えていた表現力などの面白みは失われていくだろう。

次こそ頂点へと平野が奮い立ったとき、「さらなる高回転技へ挑む」と答えるしかないほど追い込まれるようには、したくないのだ。

(スノーボード専門誌編集長 野上大介)

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