2018年11月17日(土)

近現代学ぶ歴史総合 生徒は関心、教え方に課題も

2018/2/14 17:00
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文部科学省が14日公表した高校の学習指導要領改訂案の目玉は日本史と世界史を統合して近現代を教える新科目「歴史総合」だ。生徒が生きる現代につながる歴史を学ぶ意義は大きく、近代化や国際秩序などの主題(テーマ)を重視した教え方は生徒の関心を高めそうだ。教員の指導技術の向上、日本とアジアの関係をどう教えるかなどが現場の課題となる。

東京・渋谷の青山学院高等部が独自に行っている「現代史」では世界史と日本史の教科書を使う

「日本史の教科書は205ページ、世界史は236ページを開いてください」。青山学院高等部(東京・渋谷)の2年生が2月6日に受けた「現代史」の授業。日本史と世界史を融合して教える。

この日のテーマはベトナム戦争。西村嘉高教諭(53)は黒板上の地図のベトナムの右側に沖縄を書き加え、そこから矢印を引いて「爆撃機は沖縄の米軍基地から飛んでいました」と説明した。

その沖縄で反戦運動が強まり、日本への復帰の要因になったと解説。男子生徒(17)は「最近見た沖縄の基地問題のニュースとベトナム戦争が関係していることがわかった」と興味をかき立てられた様子だった。

歴史総合ではこんな授業が展開されることになりそうだ。改訂案は「世界とその中の日本を広く相互的な視野から捉え、現代的な諸課題の形成に関わる近現代の歴史を理解する」とする。学習内容は通史ではなく、「近代化と私たち」「国際秩序の変化」といったテーマを軸に構成する。

授業案を独自に作ってきた西村教諭は歴史総合の新設を「戦後に世界史が創設された以来の大改革」と歓迎。同時に「実施までに研修などの準備が必要だ」と訴える。

高校では「地理歴史」の教員免許があれば日本史、世界史、地理を全て教えられるが、実際には多くの教員が自分の専門科目だけを教えており、その他の指導経験は乏しい。大きな変化に十分対応できるかは不透明だ。

近現代史は日本のアジア侵略、太平洋戦争など見方や評価が鋭く対立する出来事が多く、どう教えるかも課題となる。

奈良県立平城高校(奈良市)で世界史を教える百々稔教諭(55)は、ドイツとフランスの間でどちらの領土かの争いが繰り返されてきた仏アルザス地域について、授業で生徒に両国の視点から議論させてきた。だが「同じことを日本に関わる事象でやるのは難しいだろう」。

それでも「解釈まで踏みこまず、事実関係を教えるだけでも意義はある」と考える。大半の生徒は事実さえ知らないためだ。

青学高等部の西村教諭は韓国併合について戦前の「国史」など、当時の日本の韓国への見方がわかる史料を複数用意して生徒に読ませる手法をとっている。「結論を急がせずに様々な史料を読み解いて、色々な意見を参考にする姿勢を身につけてほしい」と話す。

歴史総合の授業は他の科目以上に外部の注目を集める可能性もある。世界史のあるベテラン教員は歴史認識や領土問題に関する中国や韓国の主張について、記録として残るプリントは配らず口頭でのみ教える配慮をしている。「こうした問題は一部の人にとっては格好の攻撃材料。薄氷の上を歩むような慎重さが必要になっている」と打ち明けた。

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