2018年2月23日(金)

ゴーン氏後継、仕切り直し ルノーCEOを一転続投へ

自動車・機械
2018/2/13 23:00
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 仏ルノーのカルロス・ゴーン氏が15日の取締役会で最高経営責任者(CEO)として再任される見通しになった。電気自動車(EV)や自動運転の台頭といった激しい環境変化に直面し、次を託す後継者を選べなかった。交代による混乱を回避し、緩やかな権限委譲を進める構えだが、実力者依存から抜け出せない現状が改めて浮き彫りになった。

 「ゴーン氏、ボロレ氏をナンバー2に指名へ」(仏紙フィガロ)。13日付の仏各紙はゴーン氏が続投し、ものづくりを統括するチーフ・コンペティティブ・オフィサーのティエリー・ボロレ氏がナンバー2となると伝えた。ボロレ氏は15日の取締役会で空席になっている最高執行責任者(COO)に就くもよう。次期CEOの第1候補だと内外に示す狙いだ。

 ここに至るまで、ゴーン氏は一時退任に傾いていた。2017年に日産自動車で社長兼CEOを西川広人氏に譲ったようにルノーCEOも退き、自身は日産、三菱自動車との3社連合のまとめ役に専念する体制を模索していた。17年末にはヘッドハンティング会社を使い社外の後継者候補を探したと伝えられる。

 1月には仏下院の公聴会で、自身に権限が集まる現体制について「長続きしない。3社の責任をそれぞれ分けたい」などと語り、ルノーCEOの退任を示唆した。あるルノー社員は「今度こそ退任するという受け止めが社内にも広がっていた」と説明する。

 翻意したのは、後任となる人物がまだいないと最終的に判断したためだ。ルノーは22年までに売上高を16年比約4割増の700億ユーロ(9兆3300億円)に高める目標を掲げている。22年までにEVを8車種、自動運転車も15車種投入する計画で、当面は素早く的確な経営判断が必要になる。

 ルノーには明確な後継者がおらず複数の幹部が横並びと目されてきた。候補の一角だったチーフ・パフォーマンス・オフィサーのシュテファン・ミュラー氏の辞任が決まり次期体制の見直しを余儀なくされたとの報道もある。ゴーン氏はこの状況で退任するより、ナンバー2のCOO職を復活させ、経験を積ませる期間が必要との判断に傾いていったとみられる。

 筆頭株主である仏政府の意向も影響した。マクロン大統領は約10%と高止まりする失業率改善へ経済再生を最優先に掲げており、堅調に業績を伸ばすルノーをつまずかせる訳にはいかない。現状維持でリスクを避ける続投の判断を支持したのはそのためだ。ただ仏経済省の担当者は取材に対し「続投支持の条件は日産、三菱との自動車連合の深化だ」と語った。この条件が将来の火種となる恐れはある。

 ゴーン氏も3月で64歳。新技術が次々と台頭する中で、ビジネスの感度や成長への情熱を保ち続けるのは簡単ではない。変革期を乗り切るため3社連合トップとしての判断の重要性も増す。過度な依存は3社にとってもリスクを伴う。有力な後任を見つけバトンタッチすることが、ゴーン氏に残された最大の仕事になる。(パリ=白石透冴)

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