天才2棋士、破顔 羽生・井山両氏に国民栄誉賞授与
将棋で永世七冠を達成した羽生善治氏(47)と、囲碁で七冠独占を2回なし遂げた井山裕太氏(28)への国民栄誉賞表彰式が13日、首相官邸で開かれた。安倍晋三首相は「歴史に刻まれる偉業を達成し、多くの国民に夢と感動を、社会に明るい希望と勇気を与えた」と功績をたたえた。

表彰式に臨んだ羽生、井山両氏は黒地の着物と羽織に淡い黄色の羽織ひもを結び、灰色のはかま姿。早めに会場入りしリラックスした様子で談笑していたが、表彰式が近づくと緊張した面持ちに変わった。
安倍首相から表彰状を受け取った2人は「ありがとうございます」と深々と一礼。記念撮影では「にこやかにお願いします」とカメラマンに促される場面もあった。
表彰状と盾、記念品のすずりやすずり箱などがそれぞれに贈られた。すずり箱には「七冠」にちなみ七宝のうわぐすりが施され、すずりには「国民栄誉賞受賞記念」と記された。ほかに受賞者の名前入りの筆なども贈られた。
首相へのお礼の品として、羽生氏は将棋盤と漆を使った駒、井山氏はミニチュアの囲碁盤と碁石を贈った。
羽生氏は埼玉県所沢市出身。1985年、15歳で史上3人目の中学生棋士としてプロ入り。19歳で初タイトルの竜王を獲得し、96年に史上初の七冠同時制覇を達成した。2017年12月には通算7期目となる竜王のタイトルを獲得し「永世竜王」の資格を得て、永世規定のある7タイトルすべてで永世称号を獲得。史上初の「永世七冠」となった。
井山氏は大阪府東大阪市出身。02年に12歳でプロ入りし、09年に史上最年少の20歳4カ月で名人を獲得した。16年には囲碁で史上初となる七冠独占を達成した。その後、いったん失った名人位を17年10月に奪還し、七冠に返り咲いた。
これまでに国民栄誉賞は、個人としてはプロ野球元巨人監督の長嶋茂雄氏、歌手の故・美空ひばりさんら23人が受賞している。