2018年2月19日(月)

富士フイルム、対話か対立か ゼロックス筆頭株主と

エレクトロニクス
2018/2/13 15:47
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 富士フイルムホールディングス(HD)の米ゼロックス買収に暗雲が垂れこめている。ゼロックス筆頭株主で「物言う株主」として知られるカール・アイカーン氏が買収に反対する声明を公表したためだ。対立か、歩み寄りか。5~6月とされるゼロックスの株主総会に向けて、つばぜり合いが激しくなりそうだ。

2014年11月、米メディアのインタビューに答えるカール・アイカーン氏=ロイター

 12日、アイカーン氏は大株主のダーウィン・ディーソン氏と共同で、富士フイルムHDによるゼロックス買収に反対する声明を明らかにした。アイカーン氏は「ゼロックスを劇的に過小評価している」と今回の買収の枠組みを批判した。

 批判のポイントは大きく2つある。1つは買収にあたってキャッシュを一切使わないことだ。今回の買収では、富士フイルムHDが持つ75%分の富士ゼロックス株を現金化したうえで、その資金を使ってゼロックス株式の50.1%を取得する仕組み。このため、富士フイルムHDのキャッシュは外部に流出しない。「由緒ある米国の象徴である企業の経営権を1セントも支払うことなく手に入れる」(アイカーン氏)

 もう1つは、ゼロックスが既存株主に支払う25億ドルの特別配当だ。アイカーン氏はゼロックスの資産を取り崩し、特別配当に充てることを問題視している。

 アイカーン氏は1980年代から活躍する代表的な米国アクティビスト。巨額の投資資産を武器に往事は「買い占め王」の異名を取っていた。株価の低迷した企業に注目し、多数の議決権を握った上で、買収提案、事業売却、経営陣の刷新などの要求を突きつける。

 メディアのタイムワーナー、ブリヂストン、ネットのヤフー――。主だったものだけでもこうした有名企業と渡り合っている。

 経営参加のチャンスがあればそれをものにする。できなければ、株価を引き上げて好条件で手放す。13年のアップルとの攻防戦では、アイカーン氏は同社株を買い集めた上で、ティム・クック最高経営責任者(CEO)に自社株買いの実施を要求。必要以上にためこんでいる資金を株主に還元すべきだとの主張で、アップル側は一定程度、それに応じた。

 今回は富士フイルムHDがどんな対抗策を講じるのかに注目が集まる。全面対決か、それとも新生ゼロックスの取締役にアイカーン氏の息のかかった人材を受け入れることなどで歩み寄るのか。富士フイルムHDはアイカーン氏の反対声明に対して「(今回の買収は)ゼロックス株主や顧客などすべてのステークホルダーにとって有益なものになると確信している」とコメントした。

 富士フイルムHDにとって、今回の買収スキームを大きく変更する手は取りづらい。今後の成長分野と位置付ける医薬品事業などに投じる資金が細りかねないためだ。医薬品の開発には多額の資金が必要になる。

 富士フイルムHDの古森重隆会長兼最高経営責任者(CEO)はアイカーン氏との対話について「あってもいい」と否定していない。直接対話で事態が一気に動き出す可能性もある。

 富士フイルムHDにとって、ゼロックス買収は過去最大の案件であることに加え、物言う株主とのつばぜり合いも未知の領域。ゼロックスの株主総会に向けて、どう軟着陸させていくのか。打ち手を誤れば、混迷を深めかねない。

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