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高梨、無心の大飛躍 雪辱誓った4年間結実

2018/2/13 2:30
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2回目、ちらちらと粉雪が舞うバーンの103.5メートル地点に着地すると、めったに出さないガッツポーズで両手をぽんぽん突き上げた。「ここに来て一番いいジャンプが最後できた」。ほっとしたのと自分に勝った喜びとで涙があふれ出た。

「2強」の一角は崩せなかった。うれしさ半分、悔しさ半分の「銅」ではある。だが、やるべきことはやった。五輪直前に絶対女王の座を追われた高梨が2度目の挑戦でつかんだメダルは「昔の自分を超える」と念じて歩んだ4年間の結晶だ。

ジャンプ女子で銅メダルを獲得した高梨沙羅の2回目の飛躍=共同

ジャンプ女子で銅メダルを獲得した高梨沙羅の2回目の飛躍=共同

直前のワールドカップ(W杯)13戦で10勝、「金メダル間違いなし」との触れ込みで臨んだソチ五輪。選手村に入ってから「自分を見失った」。重圧に潰され調子を保てず、不利な追い風も受けてまさかの4位。17歳のほおを涙が伝った。

あれから4年。リベンジを誓い、大舞台で弱い心を克服するため、人としての成長を自らに課した。「不器用なんです」という。真面目で融通が利かず、「悪くなったらどうしたらいいんだろう、と追い詰められて」。ソチの敗因はもっぱら心にあった。

視野を広げたいと宿にこもりがちだった遠征先でも積極的に外出した。色々なものを見て、聞いた直接競技とは関係ない時間が、巡り巡ってこの日につながったのか。今季の目を背けたくなるような現実にも、焦りは見せなかった。

W杯で昨季最終戦から11戦勝ちがなく、今季7勝の新鋭、ルンビの背中がどんどん遠のいていく。自らの伸び悩みも数字を見ればこの2年は顕著だった。W杯で稼いだ得点を1回の飛躍での距離に換算すると、ソチシーズンからの5年間でピークだった2015~16年より昨季は平均約4メートル少なく、今季はさらに約1メートル落ちた。

踏み切りから腰をすっと前に出し、揚力を受ける最適な飛行姿勢を作り出せない。飛び出しで「テークオフのインパクトが与えられていない」ことが原因と分かってからは我慢の連続。調子が悪いからと小手先を変えて負の連鎖にはまるワナに陥らず、ひたすらこの点に絞って練習を続けた。

大飛躍を生み出す秘訣は、「ジャンプ台を滑り降りるときにかかる重力を踏み切りでしっかり跳ね返してやること」だと語る。重圧、不安、葛藤に耐えた"助走"から、飛び出す時期に五輪が合った。平昌に入って踏み切りにインパクトが出て、調子を上げて本番へ。2回目の飛躍はその集大成だった。

ソチ直後に何度も見てうなされた「自分がソチのジャンプ台を飛ぶ夢」が、最近変わってきたという。ジャンプを飛んでいるのは高梨本人でも、視点は少し離れたコーチ席から見ている。広い視野を持って、心身の自律をかなえた21歳は、「最後は自分を信じて飛べた。ソチの時の顔より、私は今の顔の方が好きです」。平昌の空でようやく「悪夢」から覚めた。

(西堀卓司)

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