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スノーボーダーを翻弄 五輪とどう向き合うか
スポーツライター 丹羽政善

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2018/2/12 6:30
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2006年2月にイタリア・トリノで五輪が開催される直前、国母和宏はカナダのウィスラーにいた。調整を兼ねて大会に出ており、そこでインタビューをしたとき、こんな話をしていた。

「1080(3回転)をバック・トゥ・バック(連続)で決められるかどうか。そこじゃないですかね」

それはフロントサイドダブルコーク1080(注1)から、キャブダブルコーク1080(注2)へというルーティン(技の構成)の話だったと記憶しているが、五輪でメダルを狙うならそこが分かれ目になるという解釈だった。

(注1)横3回転、縦2回転。軸をずらしながら回転するという概念は、ピーター・ライン(米国)が1990年代に持ち込み、その後の基礎となった。
(注2)スウィッチスタンス(通常とは、逆のスタンス)からフロントサイドの横3回転、縦2回転。スウィッチスタンスからフロントサイドへの回転系トリック(技)は、伝説的なステーターともいえるスティーブ・キャバレロ(米国)が初めて成功させたことから「キャブ」と呼ばれるようになった。

時は流れ、9日開幕した平昌五輪。14日に決勝が行われる男子ハーフパイプでは、1440(4回転)の連続技が勝敗を分ける勢い。

1月の終わり、米コロラド州アスペンで行われた米スポーツ専門局ESPNが主催する「Xゲーム」で、平野歩夢がフロントサイドダブルコーク1440(横4回転、縦2回転)からキャブダブルコーク1440(スウィッチスタンスからの横4回転、縦2回転)を決め、大会で連続4回転を成功させた初の選手となった。

このコンビネーションは過去2度の五輪制覇(06、10年)を誇り、1月に別の大会で満点をたたき出したショーン・ホワイト(米国)も本番では成功していないが、平野の成功を受け、五輪では当然、ルーティンに加えてくるのではないか。

いずれにしても12年前とは大きく難度が変化しているわけだが、その一因としてはパイプのサイズが考えられる。

トリノ五輪ではパイプの長さが145メートル、壁の高さが5.7メートル、幅が17メートル(推定)だった。一方、Xゲームや現在の五輪のハーフパイプの基準は長さ180メートル、幅20メートル、高さ7メートルとなっている。これだけ違えば、できるトリックもまるで変わってくる。

ただ、平野が五輪のパイプでXゲームと同じルーティンを決められるかどうかは、わからない。

五輪のパイプ、毎回のように酷評

サイズは変わらなくても、パイプの出来そのものは誰が手掛けるかによって、プロと素人ほどの差が生まれる。ホワイトがプライベートパイプをつくるときは、決まったパイプビルダーに依頼するほど。

で、五輪のパイプだが、残念ながら毎回のように素人がつくったとも酷評される。前回ソチ五輪ではパイプの出来に関して不満が続出し、米代表だったダニー・デービスは「根本的な構造がおかしい」と疑問を呈し、「ガラクタ」とも言い切った。10年バンクーバー五輪で女子ハーフパイプを制したトーラ・ブライト(オーストラリア)も「笑っちゃうぐらい、ひどい」とコメントしていた。

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