2019年2月22日(金)

大阪地下鉄新会社社長に河井氏 夢洲延伸へ基盤づくり

2018/2/10 2:00
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4月に民営化する大阪市営地下鉄を巡り、市は9日、パナソニックの元専務で顧問の河井英明氏(63)を社長に充てることを決めた。新会社は関西の鉄道会社の中で、JR西日本阪急阪神ホールディングス(HD)に次ぐ収益力を持つ。安全運行の確保と併せ、民間の発想を生かした駅関連施設の開発や、顧客サービスの向上が経営課題となる。

4月に民営化する大阪市営地下鉄の新会社の社長に就くパナソニック元専務で顧問の河井英明氏(右)と吉村洋文市長(9日午後、大阪市役所)

新会社の大阪市高速電気軌道(愛称はOsaka Metro=オオサカ メトロ)は、大阪を南北に貫く御堂筋線など高収益の路線を保有、1日平均245万人が利用する。2016年度の営業収益は1584億円、営業利益は407億円。運輸事業のみの利益で見ると、新幹線を持つJR西には及ばないものの、私鉄では阪急阪神HDとほぼ肩を並べる。

大阪は25年国際博覧会(万博)やカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致を目指している。会場となる人工島、夢洲(大阪市此花区)までの地下鉄の延伸計画を進めるなか、財務の安定は不可欠。パナソニックで財務畑を歩んだ河井氏の起用で今後の積極投資に向けた基盤づくりを急ぐ。

河井氏は同日、大阪市北区の市役所で記者会見し「民営化の真のメリットが出せるよう全力を尽くす。資産の有効活用により地下鉄のさらなる発展を目指す」と語った。

吉村洋文市長は河井氏への要望として、公務員意識の改革▽大阪の経済の土台となるインフラへの成長▽利用者サービスの向上――を挙げた。

職員住宅の跡地などを活用したホテル経営や子育て支援サービスの提供、駅構内の商業施設の拡充による地下街の活性化など、河井氏は鉄道の枠を超えた新たな収益の柱を築く手腕も問われる。

民営化後の経営陣は、安全運行にも重点を置いて人選。市交通局の幹部も登用し、安全運行ができる体制を整備する。企業戦略やコンプライアンスについての助言機関として、銀行や鉄道会社の出身者による経営委員会も新たにつくる計画だ。

■キャッシュ重視の経営が信条

パナソニックの最高財務責任者(CFO)に就任した2012年6月は巨額赤字に陥った危機のまっただ中。同時期に就任した津賀一宏社長が進めた構造改革を投資計画の見直しや資金確保で支えた。突き動かしたのは「このままじゃ数カ月で倒産する」という焦燥感だ。

「いかにキャッシュに基づいた経営を目指すかが重要だ」。みるみる資金が消えていった経験を持つがゆえの経営信条だ。9日の記者会見でもBS(貸借対照表)やPL(損益計算書)といったCFO経験者らしい言葉を口にした。

パナソニックのある幹部は「コストカッターの一方で、資金を調達し1兆円の成長投資も実現した」と評する。若手時代には米国の映画会社、MCAの買収や撤収、経営企画担当時代には三洋電機の買収も担当した。こうした修羅場の経験が民営化後の初代トップとして適任と判断された。

好きな言葉は松下幸之助氏の「衆知を集めた全員経営」。17年春のCFO退任後は、関西経済同友会でスポーツや国際博覧会(万博)を議論する委員会のトップの活動に本腰を入れた。「こういう仕事も楽しい」。今年に入り、周囲にはそう語っていた。

最近は自ら運動する機会も増え、昨年11月には大阪マラソンのチャレンジラン(8.8キロメートル)に挑戦した。「つらかったけどなんとか完走した」。次回はフルマラソンへの挑戦を誓う。

河井 英明氏(かわい・ひであき)77年(昭52年)明大経営卒、松下電器産業(現パナソニック)入社。12年常務、14年専務、17年顧問。山口県出身。63歳

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