2018年10月18日(木)

米歳出上限引き上げ法成立 政府閉鎖回避へ

2018/2/9 19:52 (2018/2/9 23:37更新)
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【ワシントン=河浪武史】米上下両院は9日未明(日本時間同午後)、国防費や公共事業費を積み増すため、2018会計年度(17年10月~18年9月)と19会計年度の歳出上限を合計3千億ドル(約33兆円)引き上げる予算関連法案を可決した。トランプ大統領が署名して成立した。ただ、審議の遅れで9日0時につなぎ予算が一時失効。政府機関の窓口閉鎖が目前に迫る綱渡りの議会運営となった。

同法案は国防費や公共事業費、教育予算など「裁量的経費」を対象に、18会計年度は法定歳出上限を1430億ドル引き上げ、19年度も同1530億ドル増やす内容だ。今年3月23日までの新たなつなぎ予算なども含む。

上下両院では与党・共和党だけでなく、公共投資などの積み増しを求める民主党からも賛成票が集まり、それぞれ大差で可決した。トランプ大統領は9日朝に署名し、政府機関の閉鎖によって混乱する目前で同法は成立した。

同法の成立で、18年度の裁量的経費の上限は、1兆650億ドルから1兆2080億ドルへと13%引き上げられる。共和党が増額を求めていた国防費は800億ドルも積み上がる。米政権は軍需産業の立て直しを公約しており、米国内での関連投資が加速する。

裁量的経費の歳出上限は、前年度と比べても1割強増える。増額規模は国内総生産(GDP)の0.7%と巨大で、景気押し上げ効果も大きい。ただ、米議会は10年間で1.5兆ドルという巨額減税を決めたばかり。米経済は拡大局面が9年目に入り、既に完全雇用の状態だ。そのうえで大型減税と歳出拡大を同時に打ち出すのは、財政運営上で極めて異例だ。

そのため、大きな副作用も懸念される。そもそも大型減税で先行きの税収は年1千億ドル規模で減る見通しだ。さらに歳出が年1500億ドル規模で膨張すれば、財政赤字は2020年には年1兆ドルを超す可能性がある。米国債の大増発で、長期金利の上昇圧力はさらに高まる。

景気が必要以上に過熱するリスクもある。米経済は3%前後の経済成長が続き、巡航速度(2%弱)を上回って拡大してきた。インフレ懸念が強まれば、米連邦準備理事会(FRB)は株安・債券安でも、利上げを続けざるをえなくなる。米経済は低金利・低物価を追い風に拡大してきたが、トランプ政権の財政政策がその微妙なバランスを破壊することになる。

与野党指導部は7日に歳出引き上げで合意し、つなぎ予算が切れる8日中に法案を可決する見込みだった。ただ、上院では「小さな政府」を徹底して求めるランド・ポール議員が、たった1人で採決を妨害。法案審議が大幅に遅れて9日0時に政府予算が失効した。下院でも共和党の保守強硬派「フリーダム・コーカス(自由議連)」が一斉に反対票を投じ、上下両院で財政悪化を懸念する声が噴出した。

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