ファナック、15年ぶりの買収 外部の知見取り入れ 協働ロボのスタートアップを買収

ファナックは9日、人と一緒に働くことができる協働型ロボットを手掛けるスタートアップ、ライフロボティクス(東京・江東、尹祐根社長)を買収したと発表した。ファナックにとって買収は15年ぶり。ロボット技術の開発では基本的に「自前主義」の傾向が強かったが、人工知能(AI)の普及など製造業が大きく変わる中、外部の知見を積極的に取り入れる。
ライフ社の全株式を取得した。取得額は非公表。ファナックによる企業買収は2003年の光和電装の買収以来。
ライフ社は07年創業。肘の回転関節がない協働型ロボット「CORO(コロ)」を開発、販売している。狭いスペースでも作業できるほか人に危害を加える危険性も抑えているのが特徴で、トヨタ自動車など大手メーカーから受注を獲得するなど、注目の新興ロボット企業とされてきた。
協働型ロボは比較的、低コストで導入できるため、中小企業でも利用しやすい。富士経済は協働型ロボの世界市場は25年に16年と比べ8.7倍の2700億円になると予測する。
ファナックは協働型ロボに15年に参入したが、協働型ロボットの先駆的企業として知られるデンマークのユニバーサルロボットは05年の設立だ。ファナックの稲葉善治会長兼最高経営責任者(CEO)は「まだまだ不十分」としており、ライフ社の技術やノウハウを取り入れる。
ファナックはAIやあらゆるモノがネットにつながる「IoT」などの分野ではNTTや日立製作所など他社との協業を進めてきた。だが、従来は中核のロボット技術の開発に関しては「自前主義」の傾向が強く、M&A(合併・買収)にも消極的だった。
世界的な人手不足を背景にロボット市場が急拡大する中、M&Aも積極化し、成長を加速する。