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サッカーACL、連覇へのカギは「対中国」

サッカージャーナリスト 大住良之

サッカーのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の新シーズンがスタートする。昨年、浦和が日本のクラブとして10年ぶりに「アジア王者」の座についた。昨季Jリーグで7位の浦和には今年の出場権はないが、Jリーグ優勝の川崎、天皇杯優勝のC大阪、Jリーグ2位の鹿島、そしてJリーグ4位(3位のC大阪が天皇杯優勝を飾ったため)の柏の4クラブが、いずれも初優勝に挑戦する。

プレーオフを勝ち抜いたE組の柏にとって手ごわい相手がそろう=共同

今年のACLは開幕が昨年より1週早い。準決勝までアジアを東西に分けて戦い、決勝だけ東西対決になる。東地区4グループの開幕は2月13日。1次リーグは2~4月にそれぞれ2節ずつこなし、4月18日で全6節を終了する。そして8月からの準々決勝に進出するチームを決める「ラウンド16」は5月に開催される。

日本の4チームはE組に1月30日のプレーオフ(ムアントン戦=タイ、3-0)を勝ち抜いた柏、F組に川崎、G組にC大阪、そしてH組に鹿島が入る。各組のライバルたちを簡単に見てみよう。

E組には2016年のACL王者で、昨年は出場停止処分だった全北(韓国)がいる。16年のクラブ・ワールドカップで話題を独占したのは決勝進出を果たした鹿島(開催国枠で出場)だったが、5位となった全北の強さは衝撃的だった。完成されたチームプレー、変幻自在の戦術など13年からチームを率いる名将・崔康熙(チェ・ガンヒ)氏の指導が浸透し、熟成しているからだ。今季も198センチのFW金信煜(キム・シンウク)、大ベテランFW李同国(イ・ドングク)という韓国人FWを先頭に押し立て、力強さを保っている。

昨年の中国スーパーリーグ3位で、プレーオフでセレス(フィリピン)を2-0で下してACL初出場を果たした天津権健(中国)も柏にとって手ごわい相手だ。MFにベルギー代表ヴィツェル、FWにブラジル代表のアレシャンドレ・パト、フランス代表のモデストを擁し、攻守のバランスがよいチームだ。監督には1990年代にユベントスなどで活躍したポルトガル人のパウロ・ソウザ氏が就任した。

E組のもう1チームは香港の傑志。かつてC大阪でプレーしたウルグアイ代表のレジェンド、FWディエゴ・フォルランが加入し、話題になっている。

小林(中央)らがけん引する川崎の最大のライバルは上海上港になりそうだ=共同

F組の注目は昨年準決勝に進出した上海上港(中国)だ。今年もプレーオフから勝ち上がってきた。監督はポルトガル人のビットル・ペレイラ氏に代わったが、MFオスカル、FWフッキ、エウケソンのブラジル代表トリオ、MFアフメドフ(ウズベキスタン代表)、FW武磊(中国代表)と、昨年と同様、攻撃陣の「個の強さ」を誇る。川崎にとって最大のライバルになるのは間違いない。

韓国からこの組に入ったのは元神戸FWの金度勲(キム・ドフン)氏が監督を務める蔚山現代。元柏の韓国代表DF金昌洙(キム・チャンス)、そして鳥栖から移籍した日本代表FW豊田陽平ら、日本のサッカーを知り尽くしたメンバーが並んでいる。メルボルン・ビクトリーは2年ぶりの出場。コソボ代表FWベリシャとニュージーランド代表FWバルバルセスの2トップが強力だ。ただ、現在進行中のオーストラリアAリーグでは失点が多く中位(10クラブ中5位)にとどまっている。

C大阪にとってG組最大のライバルはやはり中国勢、過去2回ACL優勝の広州恒大だ。15年から中国スーパーリーグ3連覇、ACL優勝にも導いたルイス・スコラリ監督が昨年11月に退任してイタリア人のカンナバーロ氏が2年半ぶりに監督に復帰、ブラジル代表FWグラル、コロンビア代表FWマルティネスに加え、今季はセルビア代表MFグデリを補強して3回目の優勝を目指す。

韓国の済州は昨年の「ラウンド16」で浦和を苦しめたチーム。有名選手はいないが、チームワークのよさを誇る。そしてタイのブリーラム・ユナイテッドは、エドガル、ディオゴというブラジル人FWと、ナイジェリア生まれのベトナム代表FWサムソンが強力な攻撃ラインを構成する。

天皇杯を制したC大阪の最大のライバルは広州恒大=共同

H組の鹿島も気を抜けない相手ばかりだ。昨年の中国スーパーリーグでは16チーム中11位にとどまったが、FAカップに優勝して出場権をつかんだ上海申花。カップ決勝2戦で2得点のナイジェリア代表FWマルティンスのほか、コロンビア代表MFモレノ、グアリン、パラグアイ代表MFロメロと、攻撃陣は強力だ。

プレーオフでベトナムのタインホアに5-1と大勝した韓国の水原三星は、モンテネグロ代表FWデミヤノビッチが36歳になった今季も攻撃をけん引する。オーストラリア・チャンピオンのシドニーFCは、ブラジルU-20(20歳以下)代表の経歴をもつFWボボーとポーランド代表MFミエジェイエフスキーの2人が得点源。現在シーズン半ばのオーストラリアAリーグで首位を独走しており、好調だ。しかも監督は広島でプレーし、14年に仙台で監督を務めて日本をよく知るアーノルド氏。警戒を要する。

このように4組を概観すると、ACLの「東地区」は今年も日中韓の争いになりそうだ。

昨年、日本は鹿島、浦和、川崎の3クラブが1次リーグを首位で突破し、浦和と川崎が準々決勝で直接対決、浦和が優勝を飾った。

H組の鹿島も気を抜けない相手ばかりだ=共同

それに対し、過去10年間で4回の優勝を誇ってきた韓国は「ラウンド16」に1クラブ進んだだけだった。一方の中国は、1次リーグに出場した3クラブがそろって1位または2位で突破したものの、ノックアウトステージに入ってからは中国同士が順番につぶし合う形で江蘇蘇寧がベスト16、広州恒大がベスト8、そして上海上港がベスト4で姿を消した。韓国勢も中国勢も、今年は相当気合を入れてくるだろう。

まずはJリーグ開幕前の第1節、第2節に全力を尽くし、少なくともホームで勝利を収めることが重要だ。

過去数年間の成績を見ると、日本のクラブは最初の2節の成績があまりよくなかった。2節計8試合で、14年と15年はわずか1勝、16年は2勝だった。しかし17年は4勝(2分け2敗)。「スタートダッシュ」のよさが4チーム中3チームをグループから勝ち上がらせ、浦和の優勝につながった。過去にはこの2節でつまずいたことで、重点をJリーグにシフトしてしまう例も少なくなかった。

もうひとつは「中国との戦い」に全力を注ぐことだ。今年も中国の4チームは、例外なく攻撃陣に南米を中心とした代表クラスの選手を並べ、「個」の力で決定的な違いを出すスタイルを貫いている。

ワールドカップに出場するハリルホジッチ監督の日本代表もそうだが、世界と向き合う現在の日本に求められるのは、そうした「個」と敢然と厳しく戦い、最終的に集団での戦いにもちこんで勝利をつかむサッカーだ。「ACLの対中国クラブ」は「仮想・対世界」といっていい。

昨年、浦和はそうした戦いをみせ、優勝を飾った。クラブによってサッカー哲学の違い、スタイルの違いはあるだろうが、日本のクラブが中国のクラブに対する戦い方には、共通する必要な要素がある。その戦い方こそが、ACL上位進出の大きなポイントであり、同時に世界につながる道となる。

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