/

「早割」関西限定も多く ホテルや贈答品(もっと関西)

とことんサーチ

記者は東京から大阪に転勤してもうすぐ1年。振り返ると、取材でたびたび目にするのが買い物やレジャー向けに早期割引をうたうサービスだ。全国ブランドの旅行会社や小売店でも、東京にはなく関西だけに存在する「早割」の事例があるという。価格に敏感とされる関西人にとって、早割は販売促進に有効なのか。気になったので探ってみた。

「おせち予約、クリスマスケーキに旅行、いつもだいたい使っている」と話すのは神戸市の大学職員の男性(30)だ。「クリスマスや正月みたいな行事は基本的に予定変更しない。早く予約して安くなるならそのほうがいい」という。

早割は急な予定変更があると解約料金が発生するリスクもある。それでも「損しちゃったな、と軽く落ち込むぐらい」とあっさりしている。

関東の2倍応募の例も

この大学職員のような関西人の気質はデータや事例にも反映されている。JTBは2017年春に「赤いパンフレット」シリーズの北海道旅行プランで、60日前に申し込むと航空料金が割引になる早割サービスを展開した。その結果、関西圏の申込割合が首都圏の同様のプランの2倍となった。ハワイ旅行プランでも180日前までの申し込みで関西発が東京発を上回るなど、早割旅行は関西での人気が高いという。

集客が見込めるため、関西限定の早割サービスを導入するケースも少なくない。ホテルニューオータニ大阪(大阪市)では素泊まりや朝食付きプランで90日前、60日前、30日前と3段階で早割を設けている。このサービスは東京・紀尾井町のホテルニューオータニでは導入していない。

高島屋は大阪店(大阪市)や京都店(京都市)など西日本エリアの9会場で、中元・歳暮の早割サービスを例年展開している。中元は7月上旬、歳暮は12月上旬が注文のピークを迎えるが、それぞれ6月中、11月中に注文すればビールやハム、洋菓子といった定番商品を10~15%割引するという。このサービスは東京の日本橋店(東京・中央)などでは実施していない。

関西圏を中心に店舗展開する近鉄百貨店でも、全9店で早期予約による割引制度を取り入れている。16年度実績で中元や歳暮商品1500点のうち880点と半分以上が対象で、11月中に予約すればビールやジュースなど定番商品が10~15%割引となる。

早割による購入客はあらかじめ贈る相手や品物を決めているケースが多く、「年齢層が高め」(近鉄百貨店)だ。ネット通販に慣れていない層が多く、天王寺のあべのハルカス近鉄本店を中心に店頭で申し込む人が多い。近隣の店舗閉鎖で近鉄に流れてきた顧客に対しても、早割サービスの充実が一定の集客につながっているとみる。

関西圏では珍しくなくなった中元・歳暮商戦の早割だが、1999年から全店同時に始めた西武百貨店(現そごう・西武)が発端との説もある。現在は関東圏を中心に10店舗体制だが、開始当初にあった関西圏の店舗の動きが同業に広がり、浸透したとみられる。

「値段交渉がルーツ」の見方

なぜ関西では早割がここまで人気なのか。

「見栄えより合理性を求める関西人ならでは」と、分析するのは相愛大学客員教授で大阪研究家の前垣和義氏だ。商人の町として栄えた大阪ではかつて、買い物客と店側が値段交渉を踏まえて会話するのが一般的だった。現代の定価販売に影響したとされる江戸の越後屋呉服店が「現銀(金)掛け値なし」販売を提唱した後も、値切り商売は継続した。遅かれ早かれ買うものならば、できる限り本来より安く手に入れたいというニーズに合致するのではないか、という。

実際、業者にとっても早割はメリットが大きい。必要な商品・サービスの数量などを早めに確定できるほか、資金も前倒しで回収でき、資金繰り負担が楽になるからだ。在庫消化のクリアランスセールと並んで、早割は業者にとっても、合理的な販売促進策になっている。

取材中、大阪市内の小売店で買い物をしている主婦の1人は「値切り交渉まではしないが、スーパーの割引シールが貼られるタイミングで店に走る」(大阪市の30代女性)と述べていた。価格に敏感な関西人の気質は早割以外のところにも表れている。

(大阪経済部 川崎なつ美)

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

関連企業・業界

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン